比叡山延暦寺 Part 3 過酷な修行の場とおみくじ発祥の地『西塔&横川 』 (大津市)

滋賀県

東塔に続いて西塔(さいとう)と横川(よかわ)へ。厳しい修行が行われる「にない堂」や、おみくじ発祥の「元三大師堂」を巡ります。3エリア周った後は、ロープウェイ&ケーブルカーを利用して京都市内へ帰ります。

東塔をめぐった前回の記事はコチラ

比叡山延暦寺 Part 2 仏教オールスターが修行した地『東塔』 (大津市)
京都駅からドライブバスで向かう延暦寺。最初に訪れたのは中心となる東塔。延暦寺の中心となる根本中堂や、延暦寺で修行した名僧の像が並ぶ大講堂、あの番組でおなじみの鐘など見どころも多く、最もにぎわっているエリアです。
2020/3/28(土)

西塔(さいとう)

東塔から約1km、シャトルバスで約4分のところに位置する西塔地区。にぎやかだった東塔に比べるととても静か。木々に包まれて厳かに建つ、神秘的なエリアです。(滞在時間30分)

【開門時間】
1~2月:9:30~16:00
3~11月:9:00~16:00
12月:9:30~15:30

シンメトリーの『にない堂』

2つのお堂が渡り廊下でつながった左右対称な構造。向って左が常行堂、右が法華堂です。

かつて、弁慶も比叡山延暦寺で修行をしていました。その際、渡り廊下を肩にかけ、2つのお堂を天秤のようにかついでしまったといわれています。そんな伝説から、「弁慶のにない堂」と呼ばれるようになったそう。(※になう=肩にかけて持つこと)

法華三昧の場『法華堂』

にない堂の右側、法華堂は普賢菩薩を本尊とするお堂。ここは「法華三昧」という修行が行われる場所。仏像の周囲を歩くことと坐禅を21日間もの間続ける修行で、「半行半坐三昧」と呼ばれています。

時期によっては修行中のお坊さんの念仏を唱える声が聞こえることもあるそうです。

常行三昧の場『常行堂』

にない堂の左側、常行堂は阿弥陀如来像を本尊とするお堂。こちらでは「常行三昧」という修行が行われています。念仏を唱えながら、昼も夜も阿弥陀仏の周りを歩き続けるという行いを、なんと90日間もの間続けるという過酷なもの。手すりにつかまったり、天井から下がる麻紐につかまることはできますが、座ることはないそうです。

この常行堂には、阿弥陀如来像に加えて、摩多羅神(まだらじん)という神様も祭られているそう。裏側に隠されていることから「後戸の神」という言い方もするようです。常行堂の建立とも関りがあるようですが、この神様については謎な部分が多く、あまり情報が出てきません。続きはまたどこかで出会ったときにします。

西塔の中心『釈迦堂』

多くの建築がある比叡山延暦寺の中でも最古の建物。西塔エリアの本堂にあたるお堂で、またの名を「転法輪堂」ともいいます。織田信長によって焼き討ちが行われたのち、豊臣秀吉によって比叡山麓の三井寺より移築されました。

隣には釈迦伝のイラスト付きの解説パネル。とってもわかりやすいストーリーなので、予備知識が無くても理解しやすいです。

30分の滞在だったので、西塔エリアはここまで。時間があれば伝教大師(でんぎょうだいし)こと最澄を祀る霊廟・伝教大師 御廟を見てみたかったです。最澄は今もなお、ここで世のため人のために祈り続けていると言われています。

横川(よかわ)

東塔から14分、西塔から10分と、3つのエリアの中で最も奥地にある横川(よかわ)地区。第3世天台座主である円仁が開いたエリア。舞台づくりの横川中道や、おみくじの創始者といわれる元三大師を祭る元三大師堂などがあります。(滞在時間40分)

【開門時間】
1~2月:9:30~16:00
3~11月:9:00~16:00
12月:9:30~15:30

横川の中心『横川中堂』

横川エリアに立ち、最初に目に入るのが横川中堂。横川エリアの中心で、石垣の上に建つ朱色の立派なお堂です。

清水寺や将軍塚青龍殿のような舞台造りが特徴的なお堂。このデザインは、遣唐使船をモデルにしているそうです。

堂内の中心は一段階へこんだ設計をしており、そこに安置される聖観音菩薩の周りをぐるっと回る順路となります。

鬼に変化する良源を祀る『元三大師堂』

横川中堂のさらに奥にあるのが元三大師(がんざんだいし)こと良源を祀る元三大師堂

良源は優れた法力を持っていたことでも知られていますが、最も有名なのは鬼に化けることができるエピソード

全国に疫病が蔓延したとき、自らの姿を鬼に変えることによって疫病神を追い払ったという伝説が残っています。その姿は御札に描かれ、現在でも厄除護符としてここ元三大師堂にて販売しています。

運試しではない?『おみくじ発祥之地』

元三大師は現在の伝わるおみくじの創始者といわれています。そのため、この元三大師堂には「おみくじ発祥之地」の石碑が建てられています。

実際におみくじをいただくこともできるのですが、その作法は一般的な神社やお寺で見かけるおみくじとは大きく異なっています。

まずは事前に電話で申し込み予約を行います。当日、お坊さんに悩みを相談して祈願を受けます。その後、お坊さんがおみくじを引き、その内容についての解説と助言を頂きます。

運試し感覚のおみくじではなく、しっかりとしたカウンセリング。
一度体験してみたいと思いますが、それほど大きな悩みを抱えていないことに気が付きました。いつか本当に道に悩んだときにお願いしてみたいものです。

大蛇伝説が残る『龍が池弁天』

バス停から横川中道へ向かう参道にある小さな池。そこには弁天様を祭るお堂が浮かんでいます。

かつてこの池には僧侶や村人に悪さをする大蛇が住み着いていました。元三大師はその大蛇を封じ込め、そこに弁天様を祭りました。のちに大蛇は心を改め、龍神として弁天様の使いとなったそう。

シャトルバスの時刻により40分の滞在時間だったため、見ることができたのはここまで。

京都市内への帰り道

バス停《横川》からシャトルバスに乗り、比叡山頂へ。そこからロープウェイ、ケーブルカー、徒歩、鉄道と、いくつもの交通手段を使って京都市内へと戻ります。

各エリアをつなぐ『シャトルバス』

12:30のシャトルバスで横川からバス停《比叡山頂》へ。

とても眺めが良く、琵琶湖と大津市街を見渡すことができます。雲がかかっていますが、もし晴れていたらどれほど遠くまで見えるのでしょうか。ここには比叡ガーデンミュージアムがありますが、冬場のため開いていませんでした。

絶景の空中散歩『叡山ロープウェイ』

バス停《比叡山頂》から歩いてロープウェイ乗り場へと向かいます。約7分の道のりですが、途中の看板がユーモアたっぷり。

スキップで約5分、ほふく前進めざせ10分、うさぎ跳びで約5分と、様々な手段で書かれています。

かなり老朽化しているロープウェイ乗り場ですが、眺めが良すぎます!先ほどのバス停《比叡山頂》からは滋賀県サイドが見えましたが、こちらからは京都市内が見渡せます。

白地に青と赤のウェーブが入った爽やかなゴンドラは、486mの距離を約3分で下っていきます。

森の中の急斜面を進む叡山ケーブル

ロープウェイの駅、ロープ比叡からケーブルカー乗り場であるケーブル比叡駅までは徒歩1分ほど。この連結部分は展望公園のようになっており、こんなフォトスポットもあります。

ケーブルカー乗車時間は約9分。木々の中をぐんぐんと進んでいきます。このルートの標高差は561mと、日本一を誇ります。

一方、滋賀県側から比叡山に登る坂本ケーブルは2,025mで日本最長。両サイドで日本一を持っているのは、それだけ比叡山という山が険しい場所ということも表しているのかもしれません。

京都市街地へと続く『叡山電鉄』

ケーブル八瀬駅から叡山電鉄の八瀬比叡山口駅までは徒歩移動。約3分ほど歩きます。かつては遊園地が建設されてにぎわっていたそうですが、今ではお漬物屋さんが営業するのみの静かな雰囲気の駅。緑色の屋根と、掲げられた右書き「驛瀬八」の扁額がレトロ。

乗車時間は13分で出町柳駅に到着。無事計画通り京都市内に戻ってくることができました!ただいまの時刻は14:00なので、もうひとまわりできそうです。

 

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