地元出身の彫刻家・淀井敏夫の作品を中心に扱う美術館。市街地から離れた静かな環境に建っており、緑豊かな自然の中で作品鑑賞が楽しめます。とにかくダムの存在感が強く、彫刻作品と合わせてオリジナリティある世界ができあがっています。
自然に包まれた美術館
雲海で有名な竹田城跡のある朝来市にある、「あさご芸術の森公園」。豊かな自然の中に芸術作品が並ぶアート空間です。
今回訪問したあさご芸術の森美術館は、その中核施設。
受付目の前には、食事している動物たちの姿が。この動物たちの並びは、もしかしてレオナルド・ダ・ビンチの最後の晩餐では・・・?そう思ったらタイトル『「最後の午餐」に集合した一同』でした!
常設展示は淀井敏夫の作品がメイン。朝来市に生まれた彫刻家で、文化功労者、そして文化勲章を受章しています。池袋モンパルナスにも関わりがあり、碌山美術館の設立にも尽力していたそうです。
屋内の作品
人をモチーフにした作品が多いのですが、四肢がスラッと伸びているのが非常に特徴的。まるで引き伸ばしたかのような、現実を超えたバランス感覚が独特です。
動物をモチーフにした作品も多く見かけます。こちらはラクダを乗せた荷馬車をヤギが引く『サッカラの道』。動物が動物を使役しているような不思議な世界観です。
一角には再現されたアトリエも。様々な工具やワイヤーが散らばっており、立体を作り上げていく工程を感じ取ることができます。
屋外の作品
作品は屋外へと続いていきます。野外展示場では青々とした美しい芝生の中で作品たちが伸び伸びと展示されています。
まるで翼の生えた牡牛のようなこちらは、『渚のエウローペ』。躍動感にあふれており、今にも唸り声をあげて突進しそうな勢い。実は羽に見える部分は仰向けに寝転がる人間という不思議な作品です。
芝生にとっても似合う『幼いキリン・堅い土』。彼の通っていた東京藝術大学の近くに上野動物園があり、デッサンのために通っていたといいます。もともと首や脚が長いキリンは、彼の作風にぴったりハマりますね。
棒が絡まっているように見える『戯れる波と犬と少年』。よくみると、人間と犬に分けて見ることができます。ちょっとした謎解きみたいで楽しめる作品でした。
圧倒的な存在感のダム
先ほどからちらちら写っているため、気になっている方もいるかもしれませんが、野外展示場のバックには巨大な石の壁がそびえています。
こちらは関西電力が管理する多々良木ダム。高さ64.5mにもおよぶ巨大なロックフィルダム(岩石を積み上げて造られたダム)です。
日本にダムは数あれど、これほどまで美術館と隣接しているダムは他には無いのでは。これだけ存在感があると、もうダムも含めて作品みたいな気がしてきました。
日本庭園では、敷地の外にある森や遠くに見える山々を庭園の一部とする造園技法があります。景観の借用ということで、「借景」というなんとも粋な名前がついております。このダムを背景とした美術館というのも、新しいカタチの借景ですね!
アクセスと営業情報
最寄り駅はJR播但線の新井駅ですが、4kmほど離れているため徒歩だと1時間近くかかります。タクシーを利用すれば10分ほどでアクセスできるようです。※朝来市コミュニティバスもありますが、毎日運行しているわけではないため、観光での利用はなかなか難しそうです。
車の場合は播但連絡道の朝来ICから約10分。美術館の目の前に無料の駐車場があります。
開館時間 | 10:00~17:00 |
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休館日 | 水曜、祝日の翌日、年末年始 |
料金 | 500円 |
公式サイト | http://www.city.asago.hyogo.jp/category/2-7-1-0-0.html |
※掲載の情報は2021年11月時点のものです。最新情報は公式サイトにてご確認ください。
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