モダンな庭園と紅葉の海に架かる橋『東福寺』(京都市東山区)

京都府

臨済宗東福寺派の大本山の東福寺。立ち並ぶ巨大な伽藍、重森三玲が作り上げたモダンな4つの方丈庭園、紅葉の海に架かる通天橋と、わかりやすい見どころが詰まっています。紅葉の季節は混雑にご注意を!

訪問日:2025/3/31(月) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

京都五山の一角

東福寺は、九條道家が嘉禎2年(1236年)より建長7年(1255年)までの19年をかけて造り上げた寺院。奈良の「東大寺」と「興福寺」から1字ずつとり、東福寺と名付けられます。相次ぐ火災で何度も焼失してしまいますが、そのたびに再建が行われてきました。

京の5つの禅寺を指す「京都五山」の第四位にあたる格式高い寺であり、現在も25の塔頭を有する大寺院。

京都駅からのアクセスも良く訪問しやすさも魅力です。京都屈指の紅葉の名所でありますが、そのため秋は非常に混雑するのでご注意を。今回は3月末に訪問してみました。

立ち並ぶ巨大な伽藍

禅宗寺院には、その寺の特徴を表す「禅面」と呼ばれる呼び名があります。例えば「大徳寺の茶面」「南禅寺の武家面」「建仁寺の学問面」「妙心寺の算盤面」と、それぞれの寺院の特徴や秀でたポイントを表す表現。

この東福寺の禅面は「伽藍面(がらんづら)」。巨大な伽藍(がらん=寺院の建築物)が立ち並ぶ姿は、圧倒的な存在感です。

重厚な三門は応永12年(1405年)頃に再建されたもので、禅寺の三門としては日本最古にして最大とのこと。二階の内部には宝冠釈迦如来を安置しており、特別公開時のみ拝観可能となっています。

本堂である法堂は、昭和9年(1934年)に再建されたもの。通常非公開のため内部には入れませんが、入口から内部を見上げると堂本印象筆である龍の天井画「蒼龍図」を拝観することができます。

かつて、ここに16mほどの大仏が安置されていたそう。法堂の内部をよく見ると、2mにも及ぶ大仏の手「仏手」も安置されているのでお見逃しなく!

モダンな方丈庭園

東福寺に来たら見逃せないのが方丈庭園。方丈を中心に、東西南北に4つの庭園が造られており、釈迦の一生を表す8つの場面になぞらえて「八相の庭」と呼ばれています。ピヨピヨとした鶯張りの廊下を歩きながら、4つの庭をまわっていきます。

■南庭
ダイナミックな石組は仙人の住む島を表しております。そして右側奥に見える苔山は京都五山を表しているそう。最も大きな庭園で見ごたえがあります。

■東庭
白砂の流れの中に石の柱が7つ。これは北斗七星を表しているそう。こちらは小ぶりな庭園です。

■西庭
サツキの刈込と砂地で大きな市松模様が描かれた庭。幾何学的なデザインがモダンな仕上がり。

■北庭
幾何学的な市松模様に仕上げられたこれまたモダンな庭園。すべてが市松模様というわけではなく、奥に進むにつれてその模様が消えていく様子も。

この庭園は、いずれも昭和の作庭家・重森三玲(しげもりみれい)が昭和14年(1939年)に造ったもの。全国各地の庭園を調査、「日本庭園史図鑑」を作り上げ庭園史研究の基礎を築いた人物です。

松尾大社「松風苑」(京都市)や岸和田城庭園「八陣の庭」(大阪府)など、数多くの作品を残す作庭家ですが、この東福寺庭園は彼の出世作にして初期の代表作と言われています。

庭園をめぐっていると、せり出した舞台を見つけました。目の前はカエデの谷。ここからの景色、紅葉の時期はすごいことになりそうです。

紅葉の海に架かる橋

方丈庭園と並ぶ東福寺の見どころが通天橋。本堂と開山堂を結ぶ長さ約27mに渡る木造橋です。

眼下に広がるのはカエデ。紅葉でも新緑でもない時期に訪れたので少し寂しい気がしますが、秋に訪れたなら赤や橙に染まった紅葉の海を渡るような気持ちになれそうです。ここはみなさまの想像力で補ってください!

通天橋を渡った先にあるのが開山堂。開山である円爾弁円(聖一国師)を祀る、望楼型の建築です。他にも白砂の庭園有する普門院や、八角形の愛染堂などの諸堂が並んでいました。

様々な角度から見る通天橋

この先に出入口は無いので、方丈方面へ戻ります。実は通天橋を渡らずとも、谷の部分を歩いて戻ることできます。見上げる通天橋、下から見た方がより魅力的に映ります。橋を取り囲む木々の紅葉は、引き続き皆様の想像力で補ってください!

通天橋の撮影ポイントは、境内の外にもあります。それが境内の西側にある臥雲橋という小さな木道橋。

ここから見る通天橋がまた見事!よく見かける紅葉の海に浮かぶ通天橋は、きっとここから撮影されているのですね。手前の木々が赤く染まる姿、イメージしてみてください!

イメージできなかった方のために、境内に貼られていた紅葉時期のポスターを掲載させていただきます。これはいつか見てみたいです!!

アクセスと参拝情報

JR奈良線、京阪本線「東福寺」駅から徒歩10分、京阪本線「鳥羽街道」駅から徒歩10分。

拝観時間 4月1日~10月31日:9:00~16:00
11月1日~12月1日:8:30~16:00
12月2日~3月31日:9:00~15:30
料金 本坊庭園500円、通天橋・開山堂600円(秋季は1,000円)
公式サイト https://tofukuji.jp/

※掲載の情報は2025年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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