諏訪大社① 重厚な建築が並ぶ神域『下社秋宮』(下諏訪町)

長野県

下諏訪温泉街に建つ下社秋宮は、立派な建築が楽しめる情緒あふれる神社。社殿を取り囲む4本の御柱はもちろん、精巧な彫刻、巨大な注連縄、青銅の狛犬、温泉が湧きだす手水など見どころも豊富。市街地や駅にも近く、二社四宮の中で最も参拝しやすいです。

2021/7/24(土)

下諏訪町の秋宮

諏訪大社は、諏訪湖の南側の茅野市と諏訪市にある上社前宮(まえみや)上社本宮(ほんみや)、諏訪湖の北側の下諏訪町にある下社春宮(はるみや)下社秋宮(あきみや)と、合計4つの神社が存在しています。これらを総称して「二社四宮」と呼びます。

今回、諏訪大社を回るにあたり気になったのが順番。外宮→内宮とめぐる伊勢神宮のように順番があるのかと思いきや、特に参拝順序は決められていないよう。

ということで、まずは下社秋宮から。下諏訪の町中に建っており、鳥居から見ると町の広がりがとっても美しい。

巨大な注連縄の神楽殿

境内を進むと見えてくる神楽殿。神楽を奉納するための建物で、天保6年(1835年)に建てられました。彫刻などの装飾はほとんどありませんが、重厚な姿は非常に存在感があります。

印象的なのは巨大な注連縄(しめなわ)。長さは13m、重さは約1トンもあるそうです。御柱祭の度に新しいものへと付け替えられています。

神楽殿の前に鎮座するのは高さ1.7mの大きな狛犬。青銅製のものでは、日本最大といわれています。大きさもさることながら、逆三角形の非常に引き締まった肉体で造られています。

この狛犬は、原村出身の彫刻家・清水多嘉示の作品。彼の作品は、ここから車で40分ほどの八ヶ岳美術館に多く展示されていますので、気になる方は合わせて訪問してみると、より楽しめますよ!

二重楼門造りの幣拝殿

御幣を奉る幣殿と拝殿が一体となった幣拝殿。楼門のような2階建ての姿は、二重楼門造りと呼ばれています。

2階部分が大きく造られているため、一見すると少しアンバランス。しかし、それを支えるかのように両サイドには左右片拝殿が広がっているため、均整のとれた安定感が加わっています。

御祭神は建御名方神(タケミナカタノカミ)八坂刀売神(ヤサカトメノカミ)。建御名方命は、天照大神の使いである建御雷神(タケミカヅチノカミ)に敗れ、この地まで逃れてきたと伝わっています。

目を引くのは、精巧な彫刻。流れるような波や龍など、躍動感のある造形は、今にも動き出しそう。写真には写っていませんが、拝殿内部の「竹に鶴」は、繊細で見応えあります。

この彫刻は全て江戸時代中期に信濃を中心に活躍した宮大工、初代・立川和四郎によるもの。技術はもちろんのこと、事前に工房にて作り上げたものを現地で組み立てるプレハブ工法を行ったり、カタログを用意した発注など、現代に通じるようなシステムを作り上げた人物でもあります。

境内の見どころ

参道を進むと、正面に見える巨大な樹。こちらは根入りの杉(寝入りの杉)。樹齢700年ほどといわれる古木です。丑三つ時になると、枝を下げて眠りにつき、木の幹に耳を当てると寝息が聞こえるそう。小枝を煎じて子供に飲ませると夜泣きが止まり、葉を枕に入れると安眠できるといわれています。

龍の口からこんこんと水が流れる御神湯流れているのはアツアツの温泉水で、温泉手水とも呼ばれています。古来より温泉地として人々に親しまれている下諏訪ならではの、源泉かけ流しの手水なのです。

参道から少し離れたところにある緑豊かな池。中央の小島には3羽の鶴の銅像が建てられており、たちたちと水が吹き出しています。こちらは千尋池といい、諏訪大社下社の宝印である「売神祝ノ印(めがみほうりのいん)」が発見された場所です。

4隅を固める御柱

境内にそびえる巨大な木の柱。こちらは「御柱(おんばしら)」という、寅年と申年の7年に一度行われる御柱祭において建てられる巨木。大きなもので長さ17m・重さ10tを超え、山中から人力のみで運ばれ建て替えられます。 その激しい様子はテレビ中継などで見たことがあるという人も多いのではないでしょうか。

下社秋宮では幣拝殿・宝殿の四隅に建てられており、正面向かって右側が一之御柱、そこから時計回りにニ之御柱、三之御柱、四之御柱と続きます。

下社秋宮では、幣拝殿の両側に見える一之御柱とニ之御柱のみがすぐ近くで見学可能。三之御柱と四之御柱のまわりは立入禁止となっているため、遠目に眺める形になります。

さて、お次は下社春宮へと向かいます!

アクセス情報

JR中央本線の下諏訪駅より徒歩約10分、車の場合は長野自動車道の岡谷ICより15分ほど。市街地近くでありながらも、無料の駐車場があるのがとってもありがたい。

近くには、下諏訪温泉街が広がり、時計や遺跡に関する展示が並ぶミュージアムしもすわ今昔館などがあります。また、諏訪大社下社春宮まで徒歩20分ほどでアクセスできます。

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