山形県の湊町・酒田を代表する人気の観光スポット。川沿いに並ぶ白壁が美しい正面と、ケヤキ並木と黒壁のコントラストが映える裏面、2つの景観を楽しむことができます。実はつい最近まで現役だったのをご存じでしょうか。
川沿いに建つ白壁倉庫
山居橋を渡った先に広がる切妻屋根の建築群。こちらは山居倉庫。白壁・土蔵づくり9棟からなる、明治26年(1893年)に建てられた米の保管倉庫です。
倉庫の米の収容能力は10,800トン(18万俵)。屋根は二重構造になっており、内部の湿気防止や断熱効果があるそう。
映画やドラマ、CMのロケ地などにも数多く利用されてきた場所。令和3年(2021年)には、国の史跡にも指定されました。
裏側のケヤキ並木
さてさて、写真で見かける山居倉庫のイメージと違う、そう思われた方もいるかもしれません。
実は旅行雑誌などでおなじみの光景は、倉庫の裏側。ぐるっと回り込んでみると、これぞ山居倉庫といったあの光景が広がっていました。
青々しく茂るケヤキの並木がなんとも絵になります。この並木は、夏の高温防止のために植えらえれているそうです。
よく見ると、倉庫の裏側は黒い板張り仕上げ。正面からみた時とだいぶ印象が異なります。
ほとんどは立入禁止
12棟の倉庫のうち、2棟は「酒田夢の倶楽」という観光施設にリノベーション。酒田のお土産品が勢ぞろいしており、ミュージアムもあるそうです。
そして1棟は「庄内米歴史資料館」となっているのですが、当面の間休館となっていました。案内によると、建物の安全性を確認するためとのことです。
残る9棟は立入禁止。ガラス窓から中を覗いても、特に何も見当たりません。有名な観光地ですが、整備されきっていないようにも感じます。実はそれには理由があるのですが、それは後ほど。
倉庫の周りの見どころ
倉庫の前に立つツタに覆われた白い木造建築は、東宮殿下 行啓記念館。かつて東宮殿下がお見えになった際に立ち寄られた場所とのこと。内部は立入禁止となっていました。
ケヤキ並木に並ぶように建つ三居稲荷神社。この倉庫を建設する際に建立された神社です。もともとこの地で祀られていた「山居稲荷」に、旧藩主である酒井家の「太郎稲荷」、徳川家の「禎祥稲荷」を合祀、三居稲荷神社と名付けられました。
川に面している部分には船着場があり船が置かれています。この船は小鵜飼船。鵜飼とつきますが物資の輸送のための船であり、江戸時代の主流であった「ひらた舟」に代わり、明治以降に利用されていたそうです。
つい最近まで現役だった倉庫
さて、そんな山居倉庫ですが12棟のうち9棟は令和4年(2022年)の9月まで米倉庫としての利用が続いていました。
昔に利用されていたものというイメージで見ていましたが、実はつい最近まで現役だったのです。先ほど、12棟のうち9棟は立入禁止で利用されていないと書きましたが、それも頷けますね。
倉庫としての利用終了に伴い、所有権はJA全農山形から酒田市へ。「史跡山居倉庫保存活用計画」が立てられているようです。空き家となっている倉庫群が、今後どのように活用されていくのか。これからの展開が楽しみです。
アクセスと営業情報
日本海東北自動車道の酒田ICから車で約15分。酒田駅からは2kmほどなので歩けなくもないです。
開館時間 | 見学自由 |
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料金 | 無料 |
公式サイト | https://www.city.sakata.lg.jp/bunka/bunkazai/bunkazaishisetsu/sankyosouko.html |
※掲載の情報は2024年4月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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