山上に広がる伽藍の数々『山寺(立石寺)』(山形市)

山形県

山全体が修行と信仰の場である立石寺。歴史や信仰を感じるのはもちろんのこと、フォトジェニックな光景も楽しむことができます。奥之院までは往復約1時間半の道のりとなりますので、それなりの覚悟で挑みましょう!

訪問日:2024/5/2(木) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

歴史ある古刹

天台宗の寺院、立石寺「山寺」の通称でも知られる、山形県を代表する人気観光スポットです。開山は慈覚大師こと円仁。平泉の「毛越寺」「中尊寺」も開いたとされる名僧です。

そんな山寺、文字通り山の上に伽藍が広がっております。石段は1,015段。往復で約1時間30分というなかなかハードな道のりにつき、歩きやすい靴、動きやすい服装がおすすめ。夏場は熱中症対策もお忘れなく。

周辺の民間有料駐車場からスタートすると、すぐに見えてくる「根本中堂」。国の重要文化財に指定された建築であり、入口に安置されている布袋尊をなでてからお参りするのが慣わしであるそう。

200円で内陣参拝も可能。1000年以上の昔から絶やさずともされた不滅の法灯が金色の灯籠の中で輝く様子を見ることができます。

突如現れる鳥居は「山寺日枝神社」。山寺の守護神として祀られる神社です。

鎌倉時代の建立とされる「山門」が受付。巡礼料は大人一人300円です。

ひたすら続く石段

さあ、ここからはひたすら上り道。新緑は美しく、巨石・石仏・石塔など見どころも多数あるので、あまり先を急ぎ過ぎない方が良いです。

石段を登るにつれて煩悩が消滅していくという謂れもあるそう。たしかに、このハードな状況では煩悩は自然と影を潜めてしまう気がします。

最初に見えてくるのが「姥堂」。恐ろしい顔の奪衣婆の石像を本尊として安置しております。地獄と極楽の境界線であり、ここで新しい着物に着替え、古い着物は奉納するそうです。

こちらは「せみ塚」。決してセミが埋まっているわけではありません。松尾芭蕉の「奥の細道」に収録された「閑さや岩にしみ入る蝉の声」は、芭蕉が山寺参詣の際に詠んだ句であり、この塚には芭蕉の句をしたためた短冊が埋められているそうです。

大きくえぐれた岩の壁が迫力ある「弥陀洞」。岩に刻まれた文字や、奉納された塔婆が独特の雰囲気。岩肌に仏の姿を見ることができる人には幸福が訪れるそうです。探してみると良い休憩になります。

1848年に再建された「仁王門」。ケヤキ造りの門で、運慶の弟子の作と言われる仁王尊像を安置しています。

山上に広がる伽藍

仁王門の先にあるのが「性相院」。ここはびっくりするほどGoogle Mapの口コミ評価が低い寺院。逆に気になってしまったのですが、結局立ち寄らなかったので真相は不明。もし御朱印をいただく予定の方は、念のため口コミを読んでから覚悟して訪ねた方が良いかもです。

性相院の裏手、断崖に埋め込まれたお堂のようなものが見えます。こちらは「釈迦ヶ峰」という、山寺修行の岩場。険しい道のりであるため、転落する事故も多かったそうです。

この辺りには休憩所があります。ベンチが置かれており、自販機・売店・トイレもあり。ここで飲むポカリスエットは至極の味でしょう。

阿弥陀如来を本尊とした「中性院」。お釈迦様の弟子の一人「おびんずるさま」が鎮座しています。病気を治す力があるため気になる部位を撫でると良いそう。

奥之院こと如法堂

ついに「奥之院」に到着!ただしくは「如法堂」といい、円仁が中国での修行中に持ち歩いたとされる釈迦如来と多宝如来を本尊としています。

如法堂の隣には「大仏殿」があり、内部には金色に輝く大きな阿弥陀如来像が鎮座していました。その大きさは5m。どうやってここまで運んだのか気になるところです。

如法堂の近くには「三重塔」の案内が。指示にそって進むと、岩場にはめられた木の格子が見えてきました。三重塔は、なんとこの岩の中にあります。正確には「三重小塔」と呼ばれており、日本最小規模の三重塔なのです。

開山堂と五大堂

奥之院の参拝を終えたので、あとは下山・・・というわけにはいきません。山寺観光では見逃せないスポットがまだまだあります。

性相院あたりまで降りて来たところで脇道を進むと、見えてくるのは「開山堂」。その傍の岩の上には、赤く小さな「納経堂」が建てられています。

旅行雑誌でもおなじみの山寺のシンボル。その名の通り写経を納めるためのお堂であり、山内で最も古い建造物であるそう。

開山堂の先に建つのが「五大堂」。長い柱で岩場から突き出すように建つ、スリル満点なお堂です。

この五大堂、なんと中に入ることもできます。ここは山寺随一のビュースポット。波打つように続く山々や、その麓に広がる集落を一望できます。疲れも吹き飛ぶ風景ですが、柱の上に立っているということをイメージすると、ちょっとドキドキします。

参拝の所要時間

さて、このあたりで参拝もおしまい。あとは麓まで一気に下山します。根本中堂近くの駐車場から出発したところ、奥之院まで約35分。トータルで約1時間30分でした。

特に休憩ナシでめぐりましたが、上りも下りもかなりゆっくり。まだ旅行も2日目であり、さらに5月にしてはかなり暑い日。とにかく息が上がらないペースで「みなのもの、私を追い抜いて行きたまえ」と心でつぶやきながら、誰よりも遅く登った結果、こんなタイムでした。

サクサク進める方はもっと短時間でも参拝できそうですが、混雑して写真のタイミング待ちが発生したり、そもそも駐車場探しに難航する可能性もあるので、時間は多めにとっておくのがおすすめです。

下山してから思い出したのですが「郵便ポスト」を見つけるの忘れていました!!お寺の関係者や観光客が投函するというポスト、奥之院近くにあるため郵便局員の方は1,000段以上の階段を登って集配に来ているそうです。

あと「巨大滑り台」の遺構探しもしてみたかったです。すべり台が何かについては、記事が長くなってきたのでカットさせていただきますが、気になる方はぜひ調べてみてくださいね。

アクセスと営業情報

JR仙山線「山寺駅」より、参拝道入口まで徒歩10分ほど。車の場合は山形駅より約30分、山形北ICより約15分。

駐車場は、周辺に民間有料駐車場が多数あります。相場は400円~500円ほどでした。

参拝時間 4~9月:8:00~16:00
12~3月:8:00~15:00
料金 300円
公式サイト https://rissyakuji.jp/

※掲載の情報は2024年5月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
※天候により閉門時間が早まる場合もあるそうです。
※参拝時間はおそらく受付終了の時間。訪問した際は16:00受付終了、17:00までに下山とのことでした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました