何かが変わった再建天守『小倉城』（北九州市）

北九州市のシンボルとも呼べる小倉城。市街地で憩いの場となっているお城ですが、かつては巨大な海城でした。多くの戦乱を乗り越えて再建されたその姿は、資料とは少し異なるデザインとなっています。

小倉城のストーリー

北九州市にある小倉城は、関ヶ原の戦いの功績によりこの地に移封となった細川忠興が築いた城。最初は中津城を拠点としていた忠興ですが、交通の要衝となる小倉へ。かつて毛利氏の居城であった小倉城を改築し居城としました。

このときの小倉城は、当時は熊本城や姫路城にも並ぶ、西日本を代表する巨城であったといわれています。周囲8kmに及ぶ堀にかこまれた総構えを持ち、8万の兵に1万の兵で太刀打ちできるといわれるほど堅牢な城であったそう。

その後、細川氏が肥後へと移ると、徳川家康のひ孫にあたる小笠原忠真が入国します。九州諸大名の監視も行いながら、代々小笠原氏によって治められていきます。1837年の火災によって天守閣は焼失、以後再建されませんでした。

慶応2年に第二次長州征討がおこると、小倉城は激戦の舞台となります。劣勢となった幕府軍の小倉藩は、自ら城に火を放ち撤退。これにより天守閣以外の建築も焼失しました。

明治時代には陸軍が駐屯、昭和には兵器工場が造られます。戦後は米軍によって接収され、1957年に解除されます。

そして1959年に鉄筋コンクリートで再建されます。その後、1990年、2019年と2回のリニューアルを経て現代へと至ります。

大手門から天守閣へ

巨大な石が積まれた大手門跡。足元はきれいに整備されており、非常に歩きやすいです。

続いて槻門(けやきもん)跡。あまり面影はありませんが、よく見ると柱を支える礎石が地面に埋まっており、かつてここに建造物があったことを示しています。

すぐに天守閣が見えてきます。ここから見ると、すごく扁平な印象です。ここまでは無料ですが、天守閣内部は有料となっています。

天守閣内部はミュージアム

天守閣の内部は、歴史博物館。小倉城の歴史をまとめた年表や、城下の賑わいを再現した模型など、とても見やすい展示が続きます。

クイズやなりきり体験など、体験型コンテンツも豊富なので知識がなくても楽しめる内容。

シアタールームでは、実写やCGを駆使した小倉城の解説映像を上映。小倉生まれの草刈正雄さんのナレーションが心に響きます。もちろん甲冑や掛軸など貴重な歴史資料も展示されています。

最上階の展望フロア

最上階は展望室。完全屋内型なので、雨が降っても大丈夫なタイプ。

東側からは小倉城庭園、奥にはにぎやかなJR小倉駅の姿もちらりと見えます。

北側には巨大な商業施設リバーウォーク北九州が塞ぐように建ちます。壁のようにそびえる姿は、とても防御力が高そう。北の守りは完璧ではないでしょうか。

一般的にコンパクトで落ち着かないことが多い天守閣の最上階。ここは広々としており、ベンチも設置されています。ぼんやりと景色を眺めてひと休みするのにも良い場所でした。

再建されて変わったこと

小倉城の天守閣で特徴的なのは上層部。4階と5階の間には屋根が無く、また5階が妙にせり出したアンバランスなデザインとなっています。これは「唐造り(南蛮造り)」と呼ばれており、再建天守では小倉城のほか岩国城でも見ることができます。

さて、ここで城内にあったかつての天守の模型を。現在の天守と比べて大きな違いがあるのにお気づきでしょうか？

正解は破風。

破風というのは、屋根の三角部分。本来は無かったはずの破風は、再建にあたり追加されています。これは、復興資金を出していた地元商工会の希望で、見栄えを良くして観光客にアピールするために設置されたそう。(※諸説あり)

たしかに、破風があるとないとではある方がずっとかっこよく見えます。ただ、現在見ることのできる天守のほとんどは破風が付いているため、今となっては逆についていない方がオリジナリティが出せていたかもしれません。

アクセスと営業情報

JR小倉駅から徒歩15分、JR西小倉駅から徒歩10分ほど。車の場合は北九州市都市高速の大手町ランプ、または勝山ランプからそれぞれ2分ほど。
駐車場は勝山公園駐車場が1時間200円・以後20分毎に100円、勝山公園地下駐車場は30分毎に150円・最大1,000円となっています。

少し歩くと、1日700円上限や、60分100円のコインパーキングもあるので、小倉城庭園や松本清張記念館と合わせて長めに滞在する際はGoogle Mapなどで探してみても良さそうです。