現存天守かつ国宝というスペシャルなお城『犬山城』(犬山市)

愛知県

名古屋から電車で40分ほどの地にそびえ立つ犬山城。風格のある木造天守閣は、なんと室町時代から残る建築。城内を歩くと、その歴史とともにスリルも感じることができるお城です。

訪問日:2024/11/22(金) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

現存天守であり国宝天守

犬山駅から少し離れたところに続くのは、趣深い街並みが保存された城下町。その先に構えるのが犬山城。江戸時代の儒学者・荻生徂徠が李白の詩からとって付けたという「白帝城」の別名でも知られています。

江戸時代までに建造され、明治維新や戦争を乗り越え今なお残るお城を「現存天守」と呼びますが、この犬山城も全部で12ある現存12天守のうちのひとつ。築城年は1537年と、数あるお城の中でも日本最古の建築であるそう。その歴史的価値が認められ、5つしかない「国宝天守」にも指定されています。愛知県といえば名古屋城が有名であり、その影に隠れてしまいがちですが、実はスペシャルなお城なのです。

城下町、三光稲荷神社を抜けると、城内へと続く石垣の道。かつての黒門があった場所は、カーブに加えてなかなかの急斜面。この時点で防衛能力の高さを感じます。

犬山城のヒストリー

天守閣が見えてきたあたりで、まずは犬山城の歴史をさらっとご紹介!このお城の築城年は前述の通り室町時代である1537年(天文6年)。織田信長の叔父にあたる織田信康によって築城されました。織田信長の従弟である織田信清が治めていましたが、一族の領地争いが起こり織田信長が犬山城を攻略します。

その後、信長の次男である織田信雄によって治められていましたが、羽柴秀吉vs徳川家康・織田信雄の戦いである「小牧・長久手の戦い」の際には秀吉軍の池田恒興が攻略、一時的に羽柴秀吉の本陣になります。その後、戦が収まると織田信雄に返還されます。

何度か城主が変わりますが、江戸時代に入ると尾張徳川家の重臣成瀬正成が入城、以後幕末まで成瀬家が城主としてこの地を治めていきます。

明治時代には日本各地の城郭とともに廃城に。櫓や城門は取り壊されましたが、天守は守られます。1891年(明治24年)の濃尾大地震により天守が半壊するも、修復。1935年(昭和10年)に当時の法により旧国宝に指定、1952年に改めて国宝に指定されました。

風格ある木造天守閣

高さ19mの天守閣は、屋根の上に望楼が乗ったようなデザインの「望楼型」と呼ばれるタイプ。

天守台石垣は自然石をそのまま積み上げた野面積という積み方。

天守正面向かって右側に出っ張った部分があります。こちらは付櫓といい、正面から攻めてくる敵を横上から攻撃するためのもの。

石垣の上の少しはみ出したようにみえるポイントは石落とし。石垣を登ろうとする侵入者に対して石を落とす防衛システムです。

現存天守ならではの内部

外から見ると3重ですが、内部は4階建て。さらに地下に踊場を含む2階があります。入城する際には靴を脱ぐ必要があるというのも、現存天守ならでは。下駄箱は無く、ビニール袋に入れて手持ちです。

城内は屏風絵や甲冑などの歴史資料がいくつか展示されています。歩くたびにきしむ床や、少し隙間がある点など、長い歴史を持つ建築ならではのポイントも。

こちらは武具の間。武具を置いておくための武具棚が設置されています。

まるでハシゴのような急階段も現存天守あるある。急なことに加えて少し滑り、さらに靴を入れたビニール袋を手に持っているためちょっぴりハード。昔の人は和服でよく登れたなぁと思ってしまいますね。

スリリングな最上階

赤い絨毯が敷かれた最上階。歴代城主の肖像画〜写真が掲示されています。

外側部分の廻縁からは、木曽川や犬山城下町の古い町並みが見渡せます。建築物は変わっていても、この開放的な眺めは昔と比べてそれほど変わっていないのではないでしょうか。

屋根瓦の上には不思議なオブジェが。よく見ると亀の甲羅に桃がのった形をしております。こちらは長寿の象徴であり、魔除けとして置かれているそう。

なお、この廻縁の部分は床が外に向かって少し斜めになっているためけっこうスリリング!欄干も体重を預けるには少々不安であり「もたれないで」との注意書きもあります。


ということで、それなりにハード&スリリングな犬山城。それほど大きなお城ではありませんが、見応えはたっぷりでした。再建天守とは異なる、リアルな歴史的城郭建築を、ぜひ堪能してみてくださいね!

アクセスと営業情報

名鉄の犬山駅より徒歩20分ほど。券売所では、明治村やモンキーセンターとのセット券も販売していました。

開城時間 9:00~17:00
休城日 12/29~12/31
料金 550円
公式サイト https://inuyama-castle.jp/

※掲載の情報は2024年11月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました