ヴィトンとディオールという2大ファッションブランドが作る華やかな空間に、そこに散りばめられたロダンの彫刻作品。樹齢1000年のオリーブやワインのモニュメントなど、どこを切り取ってもフランスの美的センスが詰まったパビリオンです!
美しきパビリオン
大屋根リング内の東側に立つフランスパビリオン。シルバーのポールが無数に垂れ下がっており、まるでカーテンを垂らした劇場のような姿。
夜になると、赤と青のライトがそこに加わります。日中とは異なる美しい姿に、思わずうっとり。ちなみにパビリオンのテーマは「愛の讃歌」 。エディット・ピアフの名曲ですね!
ここはアメリカやイタリアに並ぶ人気のパビリオン。ときおり数時間の待ちが発生することもありますが、「思ったより待ち時間がかからなかった」というコメントもちらほら。今回、日曜の20:00頃は20分待ち、月曜の14:00頃でも20分待ちでした。同時に入れる人数が多いため、タイミングが良いと意外とサクッと入ることができるみたいです。
入館者を出迎えるのは大きなタペストリー。そこに描かれているのは、映画『もののけ姫』の世界。《森にたたずむヤックルとアシタカ》と題されています。
タペストリーの手前に置かれている像はノートルダム寺院のキマイラ像とのこと。なぜキマイラ像が展示されているのかは後ほど。
ルイヴィトンのトランク
弾けるようなデジタルアートゾーンを越えた先には、壁一面が四角いディスプレイのようなもので埋め尽くされた部屋。
このディスプレイ、よく見るとルイ・ヴィトンのトランク。合計84個ものトランクケースが積まれた圧巻の空間です。天井が鏡になっているため、トランクは高くそびえるように感じます。
次の部屋では、白いトランクで造り上げられた球体が。プロジェクションマッピングによって華やかな映像やルイ・ヴィトンのロゴが映し出される、印象的なインスタレーションです。
オリーブの樹から地中へ
エスカレーターを下った先にある庭園。奇跡の庭と呼ばれるこの場所に生えるのは巨大なオリーブの木。その樹齢は、なんと1000年以上!!
再び館内へ入ると、土の中をイメージした通路。ワインの産地として知られるアルザスの土壌深くへと入り込んで行きます。
通路の先にあるホール空間では、天井からブドウのようなオブジェが垂れ下がる。出口のスリットがワインボトル型というのも、さりげない遊び心を感じます。
ディオールのトワル
展示されているのは赤・白・青の服。こちらはクリスチャン・ディオールのトリコロールカラースーツ。それぞれ香水も添えられているところがポイントです。
壁一面に飾られているのは真っ白な服。これは「トワル」という本番前の仮縫い生地でつくられた試作品です。完成品とは異なり、通常展示されることのないもの。それをあえて展示しているのは、色や形が定まる前のピュアな存在という意味でしょうか。
トワルの数は約400点。サイズも、通常の人が着られるサイズだけでなく、わずか10cmほどのお人形さんのような小さなものも。
さらに驚くことに、ひとつひとつ別々のスポットライトが当てられています。こだわった角度による照明、それを踏まえると、トワルが生み出す影もまた意味があるように感じてきます。
日本とフランスのつながり
ラストは吊り下げられたLEDが輝くデジタルアートの部屋。まるでチームラボのような華やかな空間です。
そこに鎮座するのは「モンサンミッシェル」と「厳島神社」。それぞれ海に浮かぶ世界遺産であり、信仰の地とし長い歴史を持つ2つのスポット。モンサンミッシェル市と厳島神社のある廿日市市は、2008年に姉妹都市提携も結んでいます。
さらに「ノートルダム大聖堂」と「首里城」も。この2つにどんな共通点があるのか、実はどちらも2019年により火災に遭い、そこから復興した建築。冒頭でもののけ姫のタペストリーに添えられていたキマイラ像は、そんな火災を免れたものだったのです。
これにて展示はおしまい。出口のショップでは「エッフェル塔のオブジェ」、「ポロシャツ」、「えんぴつ」などを販売。非常にミニマムなラインナップです。
展示室とは別にコース料理専門のレストランと、気軽に買えるパン屋さんもあります。いずれも非常に人気なので、展示室以上に並んでいる可能性があるのでご注意を。
世界をつなぐロダンの手
さて、最後にルイ・ヴィトンのトランクの部屋に、少しだけ話を戻します。この部屋では、トランク以外にも《考える人》などで知られる彫刻家 オーギュスト・ロダンの彫刻が置かれています。
この部屋以降も、要所要所で姿を現すロダン彫刻。ときにはアクセントに、ときには部屋と混じり合うかのような自然な姿で置かれている作品群。
常人の感性ならば「彫刻の部屋」、もしくは「ロダンの部屋」といったように一つの部屋に集めて展示してしまいそうなところを、あえて館内ばらばらに配置しているのがお見事。一見すると統一感の無いように感じる様々な展示も、このロダンの手が、来館者をナビゲートするかのようにひとつにまとめてくれていました。
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