水戸徳川家とゆかりのある尼寺『英勝寺』(鎌倉市)

神奈川県

戦国武将・太田道灌の旧跡に、子孫の英勝院が建てた寺院。鎌倉で唯一の尼寺であり、水戸徳川家との関係も深いお寺。岩肌に掘られた洞窟や十二支彫刻、季節の花など見どころも多いです。

訪問日:2025/1/11(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

水戸徳川家との関係

浄土宗の寺院、英勝寺。1636年にお勝の方によって創建されたお寺です。

お勝の方は徳川家康の側室。家康との間に市姫を授かりましたが、幼くしてこの世を去ってしまいます。悲しみに暮れるお勝の方に、家康は徳川頼房の養母となることを命じました。お勝の方は、幼くして初代水戸藩主であった徳川頼房を育て上げ、徳川御三家と呼ばれる水戸徳川家の礎を築いていきます。

家康の死後は仏門に入り「英勝院」と称し、先祖を供養するために創建したのがこの英勝寺。お勝の方は太田道灌の子孫であり、道灌邸跡地であるこの場所が選ばれました。

代々の住職は水戸家の姫が務めたため、「水戸御殿」や「水戸の尼寺」とも呼ばれていました。江戸時代には水戸徳川家の庇護を受けて栄えていたそうです。

現在は、鎌倉に現存する唯一の尼寺。境内の入口となる通用門は、花があしらわれたかわいらしいデザイン。お寺というよりは洋館のような雰囲気の門です。

静かに佇む伽藍

裾が広がった独特な姿の鐘楼。このスタイルは「袴腰鐘楼(はかまごししょうろう)」と呼ばれており、鎌倉で唯一とのことです。

ずっしりと構える山門。讃岐高松藩主・松平頼重(徳川光圀の兄、徳川頼房の長子)によって建立されたもので、国の重要文化財に指定されています。

山門を抜けた先、左手には鞘堂と呼ばれる建造物があります。ガラス張りの内部を覗くと、そこには祠堂が安置されていました。

祠堂というのは檀家の位牌をまとめておさめる堂であるそう。キラキラ輝く豪華絢爛な姿は必見です。

十二支に彩られた仏殿

山門の先にある仏殿。本尊は、阿弥陀如来様、観世音菩薩様、勢至菩薩様という阿弥陀三尊像。立ち入りは不可ですが、引き戸を開けると内部を拝観することができます。

仏殿の軒を見ると蛇の彫刻が見えます。

こちら十二支彫刻であり、東西南北4方向それぞれに3つずつ干支の彫刻が。それぞれ動物に加えて植物も添えられていました。

他にも、水戸徳川家の「三つ葉葵」、太田家の「桔梗」の装飾も施されているそう。それほど大きいお堂ではありませんが、細部まで見ごたえのある建築です。

岩肌に祀られる三霊社権現

唐突に現れる入口の案内。その先は岩肌に見える穴に繋がっています。

ここはいったい何の入口なのでしょうか?とりあえず進んでみると、内部は10mほどの洞窟となっていました。

半ばあたりには、小さな仏像と香炉が安置されています。

最後のスロープを上った先が出口。入口よりも一段高い穴から飛び出しました。現地では特に記載がありませんが、Webの情報によると、この洞窟は「三霊社権現」を祀っているそう。

三霊社権現の先の石段を上ると聖観自在菩薩。その隣には小さな太子堂も祀られていました。岩肌をくりぬいて造ったテラス状のスペースであり、境内よりも一段高いため見晴らしも良いです。

季節によって姿を変える花の寺

四季折々の花が楽しめる「花の寺」でもあります。白藤、あじさい、彼岸花、柊などの草木が一年中境内を鮮やかに彩ります。

通用門にはその日に鑑賞できる花の札が掲げられています。1月に訪問したところ、ツワブキが見ごろとの掲示が。

この札のすぐそばの花壇にて、黄色い花を咲かせていました。

境内には竹林があり、情緒あふれる景観。4月頃に訪れると、竹林の下でたくさんのシャガが花を咲かせているそうです。次はぜひ竹林&シャガのコラボレーションを見にきてみたいです。

アクセスと拝観情報

JR線「鎌倉」駅の西口から徒歩15分。

開門時間 9:00~16:00
料金 300円
公式サイト 不明

※掲載の情報は2025年1月時点のものです。

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