生命が38億年間も滅びることなく命を繋いできた秘密を示す、「動的平衡」というキーワードを体感することができるパビリオン。難しく感じますが、実は本筋はそれほど複雑ではありません。どう捉えるかは分かれる内容ですが、普段考えたこともない気づきに出会うことができました!
生命の繁栄を感じるパビリオン
今日は11:20頃に夢洲駅に到着、ゲート前で並び12:00頃に園内に入りました。ゆっくり目のスタートとなり、12:00〜18:00のピークタイム真っ只中での入園。どのパビリオンも大変な列が形成されていますが、そんな中で最初に向かったのは「いのち動的平衡館」。
大阪万博のパビリオンには、世界の各国が出展している「海外パビリオン」や、日本の企業による「民間パビリオン」など、様々なタイプのパビリオンがあります。そんな中で、世界で活躍する選ばれし8人のプロデューサーそれぞれが作り上げたのが「シグネチャーパビリオン」。
今回紹介する「いのち動的平衡館」は、日本の生物学者・福岡伸一氏によるパビリオン。名称からは全く想像がつきませんが、なんだか難しそうな雰囲気。SNSの評判を見ると「衝撃を受けた」「めっちゃ刺さった!」という好評に加えて、「物足りない」なんていうコメントも。非常に賛否が分かれる、人を選ぶタイプのパビリオンのようです。
テントのような波打つ姿が特徴的な外観。生命発生の初期段階「エンブリオ」をイメージした建築で、内部には柱が1本もない造りとなっています。
このパビリオンは完全予約制であるため、入館難易度はやや高め。今回は奇跡的に7日前抽選にて12:05-12:15の回を確保!やった!!
事前に動画での予習も可能
パビリオン公式サイトには、動的平衡についての簡単な解説動画がアップされています!福岡伸一氏自らが語る動画で、動的平衡について簡単な解説を聴くことができます。ということで、パビリオン内部の紹介をする前に、まずはこちらの動画を。
「動的平衡」というのは、38憶年間生命が存続し続けた理由を示すキーワード。生命は絶え間なく自分を壊し、不安定さから想像力を創り出します。その結果、坂を転がり落ちるしかないはずが、自らを壊すことで上り返していくのです。
わかったような、わからないような・・・。事前学習はこんなところで当日を迎えました。
光によって描かれる生命進化
パビリオンの内部はホール空間ひと部屋。中央に置かれているのは「クラスラ」という立体シアターシステム。細胞中の骨組みを構成するタンパク質クラスリンに由来しており、32万球の光の粒子によって、ぼんやりとさまざまなモチーフが浮かび上がります。
語られるのは生命のおはなし。生き残りをかけた争いの歴史ではなく、命をつなぐ協力の歴史。小さな細胞が大きな細胞の中で生き続け、利己よりも利他によって多様な生命が産まれていく「生命の利他的リング」 が描かれます。38億年の生命のドラマをわずか10分で体感できる内容です。
動的平衡が示す38億年の秘密
映像を見終えると、出口付近のスクリーンに福岡伸一さんが登場します。「いかがでしたか?」という挨拶に始まり、動的平衡についての話がスタート。
もう一つのキーワードとなるのが「エントロピー増大の法則」。様々なケースで使用される言葉ですが、超簡潔に言うならば秩序あるものはやがてそれが崩れていく、命あるものはやがて滅びる、といったもの。
しかし、生命は38億年も滅びずに命をつないでいます。ここで登場するのが、坂道とリング。リングは通常ならば坂道を下り落ちてしまいますが、リング上部にて合成を行い、リング下部の分解を早めることで、そのバランスにより坂を少しずつ上っていきます。
この平衡によって、生命には物質が下る坂を上り返す、すなわちエントロピー増大の法則によって崩れるはずの運命に逆らっていくのです。
生命の健気さを表しつつも、坂を上るためには合成より分解を少し多くしているため、いつかは終わりが来るという危うさも。
事前に見た動画とかなり近い内容でしたが、現地の動画の方が内容はより詳しく語られております。パビリオンで見ると、部屋でスマホで見るのとは違う強い説得力を感じました。

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