港の見える丘公園内に立つ洋風建築。かつて英国総領事公邸として建てられた洋館であり、現在は無料で見学することができます。館内ではレトロな装飾や独自の建築デザイン、そして「横浜家具」の展示も。
公園内に残る洋館
横浜港を見渡す、広々とした公園「港の見える丘公園」。園内に建つ横浜市イギリス館は、昭和12(1937)年に、上海の大英工部総署の設計によって、英国総領事公邸として建てられました。
鉄筋コンクリート2階建てで、横浜に多数残る洋館の中でも、特に広い敷地と建物規模を持っています。1990年には横浜市指定有形文化財に、2002年からは2階の展示室と復元された寝室の一般公開がはじまりました。
1階には60人程度までのコンサートや発表会が行われるホールを備えており、2階には集会室もある、見学以外の機能も併せ持った施設。見学は無料ですが、イベント開催時は制限がある場合もあるのでご注意ください。
洗練されたインテリア
1階は前述の通りほとんどがホールであるため、見学できるのは配膳室のみ。
2階の寝室には樺材を使用したベッドが置かれています。創建当時は2人用の寝室であり、領事夫妻が使用していたそう。暖炉とそのまわりの装飾であるマントルピースは創建当時のものとのことです。
寝室に付属している休憩室は、「スリーピング・ポーチ」とも呼ばれています。白を基調とした洗練された空間であり、丸窓は創建当時の主流であった船窓をモチーフにしているそうです。
展示された横浜家具
2階へ進むと、優雅な展示室が広がります。キラキラしたシャンデリアや重厚感のあるカーテン、かつてはゲストルームとしてゲストの寝室だった部屋を展示室として公開しています。
何を展示しているのかと思い案内板を見ていると、そこに記されていたのは「横浜家具」の文字。そういった名前の家具メーカーがあるのかなと思いきや、横浜で制作された西洋家具を総称して呼ぶ言葉であるそう。
館内の記載によると、1863年にイギリスのゴールマンという人物が、横浜の馬具職人である原安造に椅子の修理を依頼したのが横浜家具、そして日本の洋家具作りのはじまりと考えられています。
ゴールマンはその仕上がりに感心し、本格的な洋家具製作の依頼がスタート。横浜西洋家具の歴史がはじまっていくのでした。
外観の見どころ
建物の周辺は「バラとカスケードの庭」となっており、様々な品種のバラが植えられています。バラ以外にもパンパスグラスなどの姿も。
庭園からみるイギリス館。建物から張り出した窓、角ばった姿は「ベイ・ウインドウ」と呼ぶそうです。ここ以外には、弓が貼ったようにカーブが広がる「ボウ・ウインドウ」もあるそうです。
玄関の左側に掲げられたプレートには、「GRⅥ1937」と印された王冠入りの紋章が残っています。GRⅥというのはイギリス国王であるジョージ6世のこと。このように王室メンバーのイニシャルを組み合わせた文字を「ロイヤル・サイファー」と呼び、格式の高さを表しているそうです。
さて、横浜市イギリス館の隣には「山手111番館」が建っています。こちらも無料で見学可能な施設。せっかくなので訪ねてみることにしました!
アクセスと営業情報
みなとみらい線の「元町・中華街駅」下車、6番出口(アメリカ山公園口)から徒歩6分。すぐ近くには「大佛次郎記念館」、「山手111番館」があるので合わせての訪問がおすすめです。
開館時間 | 9:30~17:00 |
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休館日 | 第4水曜、年末年始 |
料金 | 無料 |
公式サイト | https://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/british-house/ |
※掲載の情報は2024年10月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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