「裏山寺」とも呼ばれる峯の浦にある垂水遺跡は、山道を進んだ先に迫力の光景が広がる見ごたえのあるスポット。山寺を開いた円仁とも関連がある遺跡であり、僧侶の修行の場でもありました。静かで観光客も少なく、非常に神秘的な場所です。
山寺の奥に残る信仰の場
山形県を代表する人気観光スポット「山寺」。その少し奥には、「裏山寺」と呼ばれるエリアがあるのをご存じでしょうか?
「峯の浦」と呼ばれており、かつて山伏の修行場であった場所。山寺を開いた慈覚大師・円仁が、山寺の構想を練ったという謂れもあるそうです。
そんな峯の浦の入口となるのが、最上三十三観音2番・山寺観音 (千手院)。山寺の参拝口から1km程度のところにあるため、体力に余裕があれば気合で歩くことも可能です。
線路を越えて千手院へ
この鳥居は「ついてる鳥居」。恋愛運は右の柱、金運は左の柱に抱きついて「ついてる」と10回唱えるとご利益があるそう。一度に両方はNGなので、どちらかに絞ってお祈りしましょうね。
仏教施設であるのに堂々と鳥居が構える姿は少し違和感ありますが、おそらく神仏習合の時代に建てられたものであり、明治時代に神仏分離の際もそのまま継続されたのでしょうね。
鳥居の先を進むと線路が現れます。これは仙台駅から山形市の羽前千歳駅を結ぶ「仙山線(せんざんせん)」の線路。踏切もなく唐突に現れる姿は、インパクト抜群です。
千手院のお堂が見えてきました。慈覚大師・円仁の作とされる「木造千手観世音菩薩立像」を本尊としていますが、こちらは秘仏となっています。
垂水遺跡までの山道
峯の浦への入り口は、お堂に向かって右側。案内板に従って、お墓の脇の道を進んでいきます。赤黄青のカラフルな幟がなかなか目立っています。
すぐに未舗装の道へ。といってもきれいに整備されており、歩きやすいです。道に迷うようなポイントもなさそう。
道中は基本的にずっと上り坂。序盤は緩やかですが、徐々に急になっていきます。すぐに見えてくるのが「垂水不動尊」と「城岩七岩」の分かれ道。垂水遺跡へ向かうので、ここは右へと進みます。
すぐに見えてくるのは、迫り来る巨大な岩。蜂の巣状に空いた穴と、木の鳥居が独特の存在感を放ちます。ここまで鳥居から10~15分程度。奥之院まで往復1時間30分ほどかかる山寺に比べると楽々です。
岩穴に立てられた鳥居
この岩穴の一角は石段のように削られているため、中に入ることができます。このアングルは、観光情報サイトでもおなじみ。
間近で見る木の鳥居。案内板によると、古峯(こぶはら)神社という神社であるようです。
よく見ると、左上に朱色の鳥居が。そこまで登ってみると、岩と岩の間に祀られる稲荷神社を見つけました。
気が付けばそれなりの高さ。見下ろすと、先ほどの木の鳥居と山道が見えます。登るときは良かったのですが、降りるときはちょっとどきどき。岩場は滑るのでご注意を。
垂水不動尊と円仁宿跡
さらに先へ進むと垂水不動尊が見えてきます。
巨大な亀裂からは水が流れ落ちており、その下には不動明王像が置かれています。
その隣りにあるえぐれた部分は円仁宿跡。山寺を開山した慈覚大師・円仁の修行宿跡であるそう。山寺の構想を練ったというのも、きっとこの場所だったのですね。
この先はもう道がないので引き返し。分岐点の先の「城岩七岩」も気になりますが、そろそろ日が暮れて来たので、このあたりで散策はおしまい。駐車場まで戻ります。
ちなみに、この峯の浦は大正時代頃まで僧侶や修験者の修行の場であったそう。大昔の話かと思いきや、100年前くらいまでは続いていたのですね。
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