全国的にも人気が高い棚田のひとつである星峠の棚田。雪解けから5月前半、そして11月前半から降雪前に訪れると、空を映し出す「水鏡」を見ることができます。秋に水鏡が見られる棚田はけっこう珍しいです・・・!
人気の棚田
棚田が多く存在する十日町市。中でも人気があるのは星峠の棚田。日本の絶景シリーズにも常連な写真映えする棚田です。
星峠の棚田があるのは松之山・松代エリア。「まつだい農舞台」と「森の学校キョロロ」、どちらからも10kmほどのところにあります。
20台ほど止まれる駐車場も完備されており、きちんと観光整備されている印象。時刻は日没の18時頃でしたが、人がたくさん来ていました。ピークになると駐車場はすぐ満車になってしまうこともあるようです。
空を映し出す水鏡
目の前に広がる棚田。谷間の傾斜地を上手く活用して、無数の田んぼが作り上げられています。
不規則に並んでいるため、撮る角度によって映る枚数や形が大きく変わってきます。自分なりに一番良く見えるポイントを探すのも棚田鑑賞の楽しみの一つ。
川や用水路から水を引くことができず、雨水や雪解け水のみを利用して耕作する田んぼを「天水田」と呼びます。この星峠の棚田もそのタイプ。今回は5月であったため、まだ田植え前の水が溜まった状態。まるで鏡のように水面に光を反射しており、「水鏡」と呼ばれる景観を作り上げていました。
季節によって変わる姿
訪れる時期によって大きく見た目が変わるのも棚田の面白いところ。今回は5月訪問時の写真ですが、少し経つと田植えが行われ、苗が並んでいきます。ぐにゃっとした鏡の上に規則的な点が配置されていくのです。
夏になるとその点は青々と茂る線へ。あざやかなグリーンとふさふさの稲が夏らしい姿に変わって行きます。
秋には稲穂が実り、黄金の姿へと早変わり。10月下旬頃に収穫が行われるまで、この姿を見ることができます。
収穫が終わると、棚田は空っぽになります。しかし雨が降ると再び水の張った状態へと戻ります。11月前半頃には、また春のような水鏡を見ることができるのです。秋口にも水鏡が見られる棚田はけっこうレアです。
冬になると、雪景色が待っています。積雪状況によっては、水鏡のフレームが白く染まった姿を見ることができるかもしれません。
また、季節だけでなく、時間帯によっても姿が変わります。星峠の棚田で人気が高い時間帯は早朝。朝靄と朝日でとても幻想的な姿に変わるそうです。9月~11月中旬くらいまでの早朝に訪れると、雲海を見ることができることもあるそうです。
日本の棚田百選ではない?
1999年7月に農林水産省は「日本の棚田百選」を認定。日本各地の棚田が選ばれました。中でも長野県は16ヶ所、熊本県は11ヶ所、宮崎県は11ヶ所と特に多くの棚田が選出されています。(ちなみに100選とは言うものの134地域が登録されています。)
ここ新潟県もそれに続く7ヶ所もの棚田が登録されています。この星峠の棚田も当然入っているかと思いきや、なぜかその名前が見つかりません。人気の棚田ですが、意外にも「日本の棚田100選」には入っていないのです。
この棚田百選には基準があるため、もしかしたら条件を満たしていなかったのでしょうか?農林水産省によると、以下が選定基準であるようです。
(2)棚田の維持管理が適切に行われていること
(3)オーナー制度や特別栽培米の導入など地域活性化に熱心に取り組んでいること
以上を基準とし、各県から推薦を受けた棚田の中から学識経験者により構成される「日本の棚田百選」選定委員会により選定されました。
(1)~(3)は満たしているようにも見えますが、ここで気になるのは「各県から推薦」ということ。もしかしたら、星峠の棚田はエントリーしなかっただけかもしれません。
にほんの里100選とは
日本の棚田百選には入っていませんが、星峠の棚田を含む松之山・松代地区は「にほんの里100選」に選ばれています。
こちらは朝日新聞社と森林文化協会が募集、選定したもの。朝日新聞創刊130周年と森林文化協会創立30周年の記念事業として行われました。こちらの選定基準は以下の3点。
(2) 生物多様性
(3) 人の営み
棚田100選よりずっとシンプル。星峠の棚田は(1)景観の打点が高そうな気がしますね。
なお、この100選、そのテーマからもわかる通り観光地として知られていないような地域が非常に多く選ばれています。「観光地じゃない、落ち着くところに行きたい」なんて方は、次の行先探しに覗いてみてはいかがでしょうか?
コメント