秩父はかつて海だった!古代の埼玉が学べるミュージアム『埼玉県立自然の博物館』(長瀞町)

埼玉県

太古の昔の秩父の姿を現代に伝える自然ミュージアム。「秩父はかつて海だった」そんな衝撃の事実を裏付ける様々な化石が展示されています。チチブクジラにチチブサワラ、そしてパレオパラドキシアがめくるめく古代の埼玉へと誘います。

訪問日:2018/2/11(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

秩父の歴史ある博物館

一年を通して見どころが多くて、根強い人気を誇る埼玉県の秩父エリア。そんな秩父の長瀞(ながとろ)にあるのが埼玉県立自然の博物館。「埼玉の自然とその生い立ち」をテーマにした、埼玉県立としては唯一の自然史博物館であるそう。

1921年に秩父鉄道株式会社が設立した「秩父植物鉱物標本陳列所」をルーツにもつ博物館で、そこからカウントすると100年以上の歴史を持つという古参な博物館です。

入るとすぐに頭上に現れるのは、12mにも及ぶカルカロドンメガロドンの復元模型。400万年~2,500万年前に暮らしていた巨大なサメです。

このサメの化石は埼玉県から発掘されています。海なし県として有名な埼玉県からサメの化石!?いったいどういうことなのでしょうか。

埼玉はかつて海だった

約1,700万年前に誕生した秩父湾それから200万年もの間、秩父はずっと海の中でした。その証拠として、秩父からは海の生物の化石が多数発見されているのです。

こちらは、そんな秩父の海を再現したジオラマ。ウミユリや三葉虫などの古生物が暮らしていたようです。

チチブサワラの化石と模型。その名の通り、かつて秩父湾に暮らしていた魚です。現代のサワラに比べてかなり大きくマグロみたいな迫力です。

さらにはチチブクジラなんて名前の生き物の化石も!4mほどの小型のクジラで、こちらも秩父の海に暮らしていました。

こちらはパレオパラドキシアの骨格標本。1,500万年前の海に暮らしていた哺乳類です。

カバっぽいのですが、ジュゴンやマナティに似た頭骨で、そしてゾウのような骨格を持つよくわからない生き物。パレオパラドキシアと言う名前はParadox(矛盾)から来ており、「古代の不思議なもの」という意味があるらしいです。

山奥のイメージしかない秩父だったので、秩父湾というコトバがあまりにも新鮮!全然海の印象が無い埼玉県ですが、これだけ海の生き物がごろごろ出てきていたら否が応にも説得力があります。

現代秩父の豊かな自然

ときは変わり、現代の秩父。

その多くが山地で構成される秩父には、様々な生き物たちが暮らしています。そんな自然を再現した高さ8mもの大型ジオラマは、訪れる人々を、まるで山奥に入っていくような気持ちにさせてくれます。

暗闇からこちらを覗き込むニホンツキノワグマ。森の中で出会ったら鳥肌ものです。

鍾乳洞とそこに暮らす生き物たちの特集も。秩父には鍾乳洞もあるのですよね。

こちらはムジナモ。ミジンコなどの微生物を捕まえて栄養にしている水生の食虫植物。それだけでもかなり特徴的なのですが、根を持たず水面に浮遊して暮らしているらしい。さらに水温が低くなると、先端部の葉が塊になり、その部分だけ離脱して水中に沈み越冬するとのこと。なんか特殊な要素がてんこ盛りな不思議な植物ですね。

秩父といえば「石」

秩父を語る上で稀に出てくるキーワード、それは「石」。江戸時代初期には金が産出、その後もたくさんの鉱物が採掘されている秩父鉱山や、面白いカタチの石を展示する珍石館など、石関連のスポットも多く存在しています。館内には秩父より産出される鉱石や変わった石が多数展示されたエリアも。

まるでブロックチョコのような六面体の結晶「黄鉄鉱」。昔好きだったチョコレート入りのパンに似ています。

ポットホールをご存知でしょうか。またの名を「甌穴(おうけつ)」。川底に渦巻く流れができ、そこに入り込んだ石により削られた穴のことを差します。

ポットホールの中には、そのホールを作り出した石が見つかることも。川底を削りつつ、自らも丸く削られるため真ん丸なカタチをしてます。まるで人の手で加工したみたいに仕上がってますね。

まるで冷凍焼けした和牛のような赤味をおびた岩石は「紅簾石片岩」。マンガンにより赤くそまったこの岩は、生成される条件が厳しくかなりレアな岩なんですと。

そんなレア岩な紅簾石片岩ですが、世界で初めて報告されたという場所が博物館のすぐ近くにあります!

せっかくなので探しに行こう!

つづく。

アクセスと営業情報

上長瀞駅から徒歩5分ほどのところにありますが、長瀞駅からでも15分ほど。秩父鉄道は本数が少ないので、長瀞駅周辺の観光と合わせる場合は徒歩移動もありです。

展示ボリュームはそれほど多くないので、見学所要時間はさらっとで15分くらい、ゆっくり見ても30分程度あれば充分見て回れます。

開館時間 9:00~16:30 ※7~8月は17:00まで
休館日 月曜
料金 200円
公式サイト https://shizen.spec.ed.jp/

※掲載の情報は2023年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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