超超超個性派な自然博物館『ふじのくに地球環境史ミュージアム』(静岡市)

静岡県

2016年にオープンしたふじのくに地球環境史ミュージアムは、学校をリノベーションした博物館。それだけでも個性的なのですが、そこに展示されている内容も非常にユニーク。学んで考える仕掛けがたくさんあり、さらには芸術性すら感じることができるデザイン性の高いミュージアムです。

訪問日:2023/2/24(金) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

学校を利用したミュージアム

静岡市駿河区にあるふじのくに地球環境史ミュージアムは、地学や生物などを取り扱う自然史博物館。

全国にある自然史博物館ですが、この博物館は閉校となった県立静岡南高校をリノベーションしています。外観は学校そのもので、今にも生徒たちが飛び出して来そうな雰囲気。

学校の面影を感じる館内、さらに学習机や椅子を展示台にした展示方法が非常にユニークなことでも話題となっています。いったいどのような展示が広がっているのでしょうか?

アート作品のような展示室

入館してすぐのところにあるシアターでは、3分ほどの映像作品を上映しています。向かい合うように1基だけ置かれているのは、おなじみの学習机。素朴なイメージの机ですが、このように置いてあるとアーティスティックに感じます。

展示室3「ふじのくにの海」は、学習机を積み重ねた展示方法がインパクト抜群!ここに並べられているのは、たくさんの海の生物の標本。記載されている展示も、「縄文人も、グルメです」「ペリーとサンマ」など、とっつきやすく気になる内容ばかり。

展示室4「ふじのくにの大地」では、海に続いて陸の生物。テーブルの上に置かれた剥製や標本たちは、白い矢印が結ばれています。これは里山生態系の食物連鎖を表しています。矢印が全て一方的な「食物連鎖の頂点」を見つけると、ちょっとだけ嬉しい気分。大きい動物だけでなく、意外な頂点もいますよ・・・!

展示室にまぎれて、そのままの姿で残された教室も。学習机に座れば、ノスタルジックな気持ちに浸れます。でも、誰もいない教室はちょっと寂しいですね。

ユーモアあふれる展示内容

展示室8「生命のかたち」では、教室さながらに並んだ学習机。そこには様々な生き物の骨格標本が着席中!!並び順は名前の順ではなく、進化の順というのも面白い。教室の前に立つと、骨たちの先生になった気分です。

黒板にはちゃんと「本日の日直」が記載されています。私が訪問した日の日直はアメリカアリゲーターさんでしたが、これはちゃんと毎日書き換えているそうです。

展示室5「ふじのくにの環境史」では、4つ並んだシーソーのお出迎え。縄文、弥生、江戸、現代を表しており、シーソーの手前のウエイトが「ヒト」で奥が「自然」となっています。

人々の暮らしが豊かになると、自然とのバランスが崩れていく・・・ということを、シーソーを使って訴えかけています。なお、シーソーのウエイト部分は学習椅子が上手く活用されています。

展示室6「ふじのくにの成り立ち」では、白い展示台の上に様々な鉱石が並びます。実はこの展示台は静岡県の形をしており、鉱石は産出される場所に置かれています。

企画展示「角の魅惑」

この博物館では、年に数点ほど企画展も実施しています。私が訪問したときは、以下の企画展を開催しておりました。

角の魅惑 日本のシカ化石とニホンジカ
開催期間:2022/12/03(土)~2023/05/07(日)

タイトルが示す通り、現代においても身近な野生動物であるシカをテーマにした内容。シカの進化の歴史を表した展示では、長い年月をかけて進化した結果、徐々にツノが大きく立派になっていく様子が体感できます。

鎮座する大きな骨は、ヤベオオツノジカの骨格標本。かつて日本に暮らしており、縄文人が狩猟していたとされる大型のシカです。静岡県内でも、浜松市などから化石が見つかっているそう。

ずらりと並んだ頭骨の標本。ツノで簡単に見分けがつくかと思いきや、個体差があったり、違う種なのにそっくりなケースがあったりとなかなか難しいようです。ツノは非常に奥が深いです・・・!

レアな標本にも会える

以前博物館のレポート記事にて、スタッフさんが「それほど珍しいものはありません。」と答えていたのを目にしたことがあります。

たしかに、剥製や標本もわりとポピュラーなラインナップ、かと思いきやニホンウナギのレプトケファルス(稚魚)を発見しました!これが展示してあるのはかなり珍しいのでは。

廊下には2016年に駿河湾の漁師さんが釣り上げたというオンデンザメの標本。全長2.8mという大きさですが、まだまだ子供。最大で7mにもなり、年齢は500歳まで生きることもあるというびっくりなサメです。イカやカニ、海底の遺体などを食べるため、サメなのに鋭い歯はありません。正面にまわると、特徴的な口の中の様子も見ることができます。

全然珍しいものありました!!!

というか、これだけ個性的な展示を展開しているこのミュージアムそのものが珍しいです!!!

アクセスと営業情報

JR静岡駅北口バスターミナルからバスで約30分。直通となる路線バスは1時間に1本程度運行しています。

開館時間 10:00~17:30
休館日 月曜
料金 300円
公式サイト https://www.fujimu100.jp/

※掲載の情報は2023年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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