2016年にオープンしたふじのくに地球環境史ミュージアムは、学校をリノベーションした博物館。それだけでも個性的なのですが、そこに展示されている内容も非常にユニーク。学んで考える仕掛けがたくさんあり、さらには芸術性すら感じることができるデザイン性の高いミュージアムです。
学校を利用したミュージアム
静岡市駿河区にあるふじのくに地球環境史ミュージアムは、地学や生物などを取り扱う自然史博物館。
全国にある自然史博物館ですが、この博物館は閉校となった県立静岡南高校をリノベーションしています。外観は学校そのもので、今にも生徒たちが飛び出して来そうな雰囲気。
学校の面影を感じる館内、さらに学習机や椅子を展示台にした展示方法が非常にユニークなことでも話題となっています。いったいどのような展示が広がっているのでしょうか?
アート作品のような展示室
入館してすぐのところにあるシアターでは、3分ほどの映像作品を上映しています。向かい合うように1基だけ置かれているのは、おなじみの学習机。素朴なイメージの机ですが、このように置いてあるとアーティスティックに感じます。
展示室3「ふじのくにの海」は、学習机を積み重ねた展示方法がインパクト抜群!ここに並べられているのは、たくさんの海の生物の標本。記載されている展示も、「縄文人も、グルメです」「ペリーとサンマ」など、とっつきやすく気になる内容ばかり。
展示室4「ふじのくにの大地」では、海に続いて陸の生物。テーブルの上に置かれた剥製や標本たちは、白い矢印が結ばれています。これは里山生態系の食物連鎖を表しています。矢印が全て一方的な「食物連鎖の頂点」を見つけると、ちょっとだけ嬉しい気分。大きい動物だけでなく、意外な頂点もいますよ・・・!
展示室にまぎれて、そのままの姿で残された教室も。学習机に座れば、ノスタルジックな気持ちに浸れます。でも、誰もいない教室はちょっと寂しいですね。
ユーモアあふれる展示内容
展示室8「生命のかたち」では、教室さながらに並んだ学習机。そこには様々な生き物の骨格標本が着席中!!並び順は名前の順ではなく、進化の順というのも面白い。教室の前に立つと、骨たちの先生になった気分です。
黒板にはちゃんと「本日の日直」が記載されています。私が訪問した日の日直はアメリカアリゲーターさんでしたが、これはちゃんと毎日書き換えているそうです。
展示室5「ふじのくにの環境史」では、4つ並んだシーソーのお出迎え。縄文、弥生、江戸、現代を表しており、シーソーの手前のウエイトが「ヒト」で奥が「自然」となっています。
人々の暮らしが豊かになると、自然とのバランスが崩れていく・・・ということを、シーソーを使って訴えかけています。なお、シーソーのウエイト部分は学習椅子が上手く活用されています。
展示室6「ふじのくにの成り立ち」では、白い展示台の上に様々な鉱石が並びます。実はこの展示台は静岡県の形をしており、鉱石は産出される場所に置かれています。
企画展示「角の魅惑」
この博物館では、年に数点ほど企画展も実施しています。私が訪問したときは、以下の企画展を開催しておりました。
開催期間:2022/12/03(土)~2023/05/07(日)
タイトルが示す通り、現代においても身近な野生動物であるシカをテーマにした内容。シカの進化の歴史を表した展示では、長い年月をかけて進化した結果、徐々にツノが大きく立派になっていく様子が体感できます。
鎮座する大きな骨は、ヤベオオツノジカの骨格標本。かつて日本に暮らしており、縄文人が狩猟していたとされる大型のシカです。静岡県内でも、浜松市などから化石が見つかっているそう。
ずらりと並んだ頭骨の標本。ツノで簡単に見分けがつくかと思いきや、個体差があったり、違う種なのにそっくりなケースがあったりとなかなか難しいようです。ツノは非常に奥が深いです・・・!
レアな標本にも会える
以前博物館のレポート記事にて、スタッフさんが「それほど珍しいものはありません。」と答えていたのを目にしたことがあります。
たしかに、剥製や標本もわりとポピュラーなラインナップ、かと思いきやニホンウナギのレプトケファルス(稚魚)を発見しました!これが展示してあるのはかなり珍しいのでは。
廊下には2016年に駿河湾の漁師さんが釣り上げたというオンデンザメの標本。全長2.8mという大きさですが、まだまだ子供。最大で7mにもなり、年齢は500歳まで生きることもあるというびっくりなサメです。イカやカニ、海底の遺体などを食べるため、サメなのに鋭い歯はありません。正面にまわると、特徴的な口の中の様子も見ることができます。
全然珍しいものありました!!!
というか、これだけ個性的な展示を展開しているこのミュージアムそのものが珍しいです!!!
アクセスと営業情報
JR静岡駅北口バスターミナルからバスで約30分。直通となる路線バスは1時間に1本程度運行しています。
開館時間 | 10:00~17:30 |
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休館日 | 月曜 |
料金 | 300円 |
公式サイト | https://www.fujimu100.jp/ |
※掲載の情報は2023年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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