山形県の高畠町で祀られる安久津八幡神社は、室町時代の建築が残る歴史深い神社。神社でありながらも三重塔がそびえていたり、多数の古墳が点在していたりと見どころは多いです。
長い歴史を持つ神社
道の駅たかはたのすぐ近くに鎮座する安久津八幡神社。貞観2年(860年)に慈覚大師こと円仁によって阿弥陀堂が建立され、さらに前九年の役の際に源義家が安倍一族を平定した際に鎌倉の鶴岡八幡宮を勧請したといわれています。
参道の半ばに建つ舞楽殿。茅葺屋根という趣深い姿は、室町時代末期の建築であると推定されています。春の例大祭では「田植舞」が、秋の例大祭では「延年」が舞われるそうです。
拝殿は宝暦5年(1755年)に再建されたもの。こちらも茅葺き屋根で、歴史を感じさせる外観です。
GWの訪問したが、参拝者は私以外いませんでした。静かで居心地の良い神社です。
境内の見どころ
参道の両サイドに横たわる2本の石柱は、じじばば石と呼ばれています。おじいさんとおばあさんが鳥居を奉納しようとしたところ、天邪鬼に邪魔されて建てられなかったという伝説も残っているそうです。
参道のそばに建つ子育地蔵尊。白いシャガの花に囲まれた姿は、なんだか異世界のようです。
子育地蔵尊の裏には山ノ神様。小さなお社では、男性のシンボルが祀られます。まだ新しいようでぴかぴか。もしかしたら建て直されたばかりなのかもしれません。
赤い社殿が特徴的な岩駒稲荷。社殿の奥にある旗立岩に築かれた石祠にドッキングするかのような姿。よく見ると、岩には石仏が彫られています。
江戸時代から残る三重塔
この神社のシンボルと呼べるのがこちらの三重塔。重厚な姿で参拝者を出迎えるようにそびえ立っています。
もともとは寛永2年(1625年)に建てられましたが、その後烈風により倒壊、現在の塔は寛政9年(1797年)に完成したものであるそう。
こういった塔は、本来は寺院に建つものですが、ここでは神社の境内に建っています。江戸時代までは神仏習合という神道と仏教を合わせた信仰が普通であったため、神社に塔がたっていたり、寺院内に神社が祀られるのはごく自然な光景。ここ安久津八幡神社にも寺院があったようです。
明治に神仏分離令が施行されると、寺院が失われ、その後の火災などで寺院建築がなくなり塔だけが残ったとのこと。他の地域では神仏分離の際に、寺院建築は取り壊されたり移築されたりしましたが、ここでは残り続けたのですね。
仏教排斥運動の廃仏毀釈が盛んではなかったのか、それとも何か理由があったのか。気になるところです。
高畠町郷土資料館
神社の境内には郷土資料館があります。
建物は、高畠町特産の凝灰岩「高畠石」を随所に使用した鉄筋コンクリート2階建て。ゆるやかな階段を上って入るデザインは、古代の高床式建造物を模して造られたそうです。
館内は残念ながら撮影禁止。町内の遺跡からの出土品、織機や藁座・唐箕などの民具、安久津八幡宮に伝わる棟札など様々なモノが展示されています。電化前の氷冷蔵庫や、白黒テレビ、蓄音機など、昭和の品々もあり、もしかしたら懐かしく感じる方もいらっしゃるかもしれません。
古墳と歴史公園
安久津古墳群の鳥居町支郡と呼ばれる古墳が4基復元されています。林の中に残る古墳たちは、なかなか見ごたえあり。
また、神社の周辺は歴史公園として整備されており、復元された竪穴式住居や「うきたむ風土記の丘考古資料館」などがあります。
高畠町には、ここ以外にも多数の古墳が残されています。詳しくは次回に!
アクセスと営業情報
道の駅たかはたからも、国道113号線を渡ってすぐです。
開門時間 | 24時間 |
---|---|
料金 | 無料 |
公式サイト | https://www.town.takahata.yamagata.jp/kanko/miru/870.html |
※掲載の情報は2024年5月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
コメント
[…] 古墳以外にも、迫力の採石場を見学できる「瓜割石庭公園」や、三重塔が残る「安久津八幡神社」、髙畠石でつくられた「旧高畠駅」、泣いた赤鬼の物語で知られる「浜田広介記念館」など、観光名所が多数あります。古墳めぐりとあわせていろいろ訪問してみるのも超おすすめな町です。 […]