海の神とサクラの神社『鹽竈神社』(塩釜市)

宮城県

大漁祈願や海上安全のご利益がある海を見渡す神社。独特な三本殿二拝殿の造りをはじめ、境内には天然記念物の塩竈ザクラや見応えのある燈籠など多くの見所があるパワースポットです。

開門時間:5:00~20:00
2018/9/15(土)

塩釜といえば鹽竈神社

9月中旬の連休を利用してやってきた宮城県。浦戸諸島へ行くための船の待ち時間、少し時間があったたので港近くにある鹽竈神社へ立ち寄ってみました。

こちらは陸奥国一宮です。陸奥国というのは東北地方一帯を指し、一宮というのはその地域で最も社格が高いとされる神社のこと。東北地方の中でもかなりの力を持つ神社です。

悩むのが「しおがま」の漢字。鹽竈、鹽竃、塩竈、塩竃、塩釜、塩釡…………「しお」も「かま」もそれぞれ複数パターンが見られるため、どれが正しいのか非常にわかりづらいです。とりあえず神社には「鹽竈」と書かれていたのでこれで行きますね。

鳥居をくぐると、青々とした池泉庭園が広がっています。

境内を進むと、最初に目に入るのは志波彦(しわひこ)神社。志波彦大神を奉っているのですが、この神様は謎が多く、どんな神様なのかははっきりしていないようです。

特別な三本殿二拝殿

鹽竈神社は、正面には左右宮拝殿、右手には別宮拝殿と2つの拝殿がある三本殿二拝殿スタイルの変わった神社。

この中で鹽竈神社の主祭神を奉っているのは正面の左右宮ではなく、右側にある別宮「別」ときくとotherなイメージですが、この別は「特別」の別。Specialということらしいです。

この別宮で祭られている神様はシオツチノオジ(鹽土老翁神)。いわゆる仙人のような姿をした、海の老神です。塩の神、安産の神そして道案内の神様として信仰されています。

左宮にはタケミカヅチ(武甕槌神)・右宮にはフツヌシ(経津主神)がそれぞれ祭られています。この2人は戦いの神様で、東北平定の際にシオツチノオジに案内されたそうです。ちなみに、左宮のタケミカヅチは鹿島神宮、右宮のフツヌシは香取神宮の主祭神です。

実は、この左右宮の間がパワースポットとのこと。積極的なボランティアガイドのおじぃがいろいろ教えてくれました!

塩竈神社のサクラ

囲いが設けられているこちらの木は、国の天然記念物に指定されている塩竈ザクラ。花弁は35~50枚と多く、ぶわっとした八重桜タイプの花を咲かせます。最初は白いのですが、徐々に色が濃くなるため、化粧桜とも呼ばれるそう。

9月なので花を見ることは叶いませんが、サクラの解説とともに開花時の写真が載っていました。

境内には、他にも河津桜や大島桜、ギョイコウなどの様々なサクラが植えられています。春にはきっと様々なサクラの花を楽しむことができることでしょう。

実はこの神社の社紋はサクラ!海の神様のイメージが強い神社でしたが、サクラ神社としての一面も持ち合わせていました。

境内散策で見つけたもの

まだ時間があるので、境内をもう少し散策してみます。

撫で牛がいました。牛を神使(しんし=神の使いとされる生き物)としている天満宮ではお馴染みですが、ここでは商売が牛のよだれのように長く続くことを願い、奉納されたそうです。

そして鹿!これはもしかして、鹿島神宮にちなんでいるのでしょうか。

こちらは献魚台。ただの木のテーブルですが、献魚とある通り、その年最初に捕れた魚を供えるところ。マグロなどの魚が置いてあることがあるらしいです。

拝殿の前で一際目立っているのは銅鐵合製燈籠(どうてつごうせいとうろう)

「伊達九代藩主、周宗(ちかむね)が蝦夷地警護の凱旋ののち奉賽として寄進した」と書かれています。「奉賽(ほうさい)」は神様への感謝の意味を込める的な意味のはず。この場合は蝦夷地警護から無事帰還できたことに対する感謝を込めて燈籠を寄進したのだと思います。

なお、この時代の「蝦夷地警護」は、1806~1807年にロシアが北海道へ進行した「文化露寇(ぶんかろこう)」を受けて警護を強化していたのだと推測されます。

様々な装飾がされている中で気になったのは龍の頭、魚の体、そして羽が生えた姿をした不思議な生き物。おそらくですがこちらは「飛竜」。火を使うところに「火伏せ(火難よけ)」の意味合いで描かれることが多い霊獣なので、火を灯すのが目的の燈籠は然るべきところです。

他にも様々な霊獣が彫られている見応えのある燈籠でした。

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