向島 Part 2 スパイラルデッキのそばに広がる廃索道(尾道市/芸予諸島)

芸予諸島

向島(むかいしま)の最高峰である高見山。山頂展望台へ続く道の途中で少し脇道にそれると見えてくるのはスパイラルデッキ展望台。その傍らには時が止まったリフトとホテルという2つの物件が残されています。

訪問日:2023/5/1(月) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

スパイラルデッキ展望台

島の最高峰である高見山山頂にある展望台。車道が整備されており、車で気軽に上ることができる展望台です。

そこへ向かう道中、少しだけ手前の道を左に逸れると「スパイラルデッキ展望台」へとつながります。そこにあるのは、スパイラルの名の示す通り螺旋階段が取り付けられた小さな展望台。

展望台の規模も小さく、見える景色の範囲は高見山展望台とほぼ同じかそれ以下。加えて標高も低いため、わざわざこちらに立ち寄る人はほとんどいません。

しかし、このスパイラルデッキ展望台の傍には、他ではなかなか見ることができない光景が広がっているのです。視界に入る錆びついた機械、これはいったいなんでしょうか?

廃リフトの残骸

赤茶色の鉄骨の上部には滑車とワイヤー。こちらは明らかにロープウェイやリフトなど「索道」の支柱です。

すぐ近くには黄色いイスの姿があります。かつてはこの地では人を乗せて運ぶ観光リフトが運行していたのでしょう。

5月に訪問したところ、廃墟となったリフトはピンク色のツツジに覆われています。生き生きと成長する植物と朽ちていく人工物のコントラストというのは、何とも形容しがたい魅力があります。

空を舞うイス

せっかくなので、もう少し観察してみましょう。ワイヤーをたどっていくと、このリフトはどうやら高見山の山頂へと続いているようです。

運行が停止していても等間隔を保ち続けるイスたち。もう役目は果たしているのに規律を守り続ける健気さや勤勉さを感じます。

よく見ると、一基だけ不思議なバランスを保っているイスの姿も。解放を試みたものの成れの果てでしょうか。

区間の一部はすっかり木々に包まれています。不安定な椅子を支えるかのように伸びる立派な樹木の姿。いったいこのリフトは何年前から停止しているのでしょうか。それとも成長の早い木なのでしょうか。

静かに佇むホテル寅福

リフトの奥には廃墟オーラ漂う建物の姿。看板に書かれた「とらふく」の文字から検索してみたところ、ここは「ホテル寅福」という宿泊施設であったようです。もう20年間になる2003年に閉館、その後は解体されることなく現在に至ります。

2003年ならばネット上に営業時の情報は残っているかなと思ったのですが、出てくるものは心霊スポットのウワサや建造物侵入罪で逮捕されたといった話ばかり。2002年にグラビアアイドルの撮影に使用されたという情報もよく見かけますが、営業当時の情報はもうほとんど残っていないようです。

ネット上に出た情報は永遠に消えない、という話はよく耳にしますが、実際のところはサーバーが停止したり、コンテンツサービスの終了であったりと、たどり着けなくなってしまうことも多い気がしますね。

わずかに残っていた宿泊者の記録では、オーシャンビューの絶景展望風呂が素晴らしかったとの記載や寅寿司御膳という食事をとったことが記されていました。

なお、こちらのホテル寅福、特にロープやフェンスなどkeep outされていませんでした。
廃墟の建物というのは、本当に様々な危険が伴います。そして、入ったところで何か良いことも特にないと思います。間違っても中に入ったりせず、スパイラルデッキ展望台から眺めるだけにしておくのをおすすめします。

「廃墟検索地図」というサイト内に、ホテル寅福についての詳細が掲載されていましたので、気になる方はこちらをご覧ください。
ホテル寅福
ホテル寅福は、広島県尾道市の向島にある高見山山頂にあったホテル。高見山スパイラルデッキの奥に位置....

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