愛知川のほとりに立つ古刹は、紅葉の名所として知られています。期間限定でライトアップも開催しており、その赤く染まった境内をじっくりと堪能できます。すぐ近くには温泉施設「八風の湯」もあり、セットでの訪問がおすすめです。
近江の古刹
滋賀県の東近江市にある永源寺。南北朝時代にあたる1361年、近江国の守護である佐々木(六角)氏頼が開基となって建立された寺院です。戦国時代に2度の焼き討ちにあいますが、江戸時代に復興しました。
「湖東三山」と呼ばれる3つのお寺、西明寺・金剛輪寺・百済寺と近く、いずれも紅葉の名所として名高いため、合わせて訪問される方も多いです。
ただし、湖東三山は天台宗のお寺ですが、この永源寺は臨済宗と宗派が異なっています。
秋の特定期間には、境内をライトアップした夜間拝観が行われます。今回、ちょうどそのタイミングで訪問することができたので、日が沈んだタイミングをねらって参拝してきました。
橋と坂を越えて向かう境内
境内へは大歇橋(だいけつきょう)という橋を渡ります。小さな橋ですが、ブルーにライトアップされており幻想的。
続いて、羅漢坂(らかんざか)という石段が続きます。非常に険しく見えますが、120段なのでそこまでハードではありません。
よく見ると側面にはたくさんの仏像が。こちらは羅漢坂の名が示す通り、お釈迦様の弟子である十六羅漢の石仏。岩肌に溶け込んでいるため、うっかり素通りしてしまいそうでした。
羅漢坂の半ばには、メガネをかけたお地蔵さんがたたずんでいます。このお地蔵さんは、志半ばでこの世を去った修行僧の供養のためにと遺族の方が建立したもの。修行僧の生前の姿を表しているそうです。
シックな禅宗建築
重厚な山門は江戸時代後期の建築物。禅宗らしく、色付けや余計な装飾のない洗練されたデザイン。2階部分には釈迦如来菩薩・文殊菩薩・普賢菩薩および十六羅漢像を安置しています。
5色の布がはためく本堂。大きな茅葺屋根を載せた立派な伽藍で、内部には本尊である世継観音を安置しています。紅葉期間に合せて、井伊の赤備えこと、真っ赤な甲冑も特別公開されています。
開祖である寂室(じゃくしつ)禅師を祀る開山堂。岡山生まれの禅師は京都の東福寺、鎌倉の建長寺で修行を積み、海を越えて元にも渡った経験を持ちます。天井を見上げると、うっすらと残る雲龍図も見ることができます。
紅葉ライトアップ
秋の永源寺といえば、やっぱり紅葉が魅力。真赤に染まったモミジが照らされて夜の闇に輝きます。緑色の残る葉も多いですが、異なる色付き具合のおかげでとってもであざやか。
真紅というコトバが相応しいほど深く染まった紅葉もあります。寺院建築や橋と紅葉のコラボレーションで写真を撮りたいのですが、紅葉ポイントと重ならないのがちょっとだけ勿体ない。
法堂の内部には、工房SHINによる竹灯籠のディスプレイ。竹をくり抜いて作られた影絵は、お寺の雰囲気にぴったりハマる趣あるイルミネーションです。
京都のような派手な演出はありませんが、ナチュラルなライトアップは心が落ち着きます。11月3連休前の金曜の夜に訪問したのですが、人は少なめですっきりした印象でした。
近くには温泉も
永源寺より車で2分ほどのところには、永源寺温泉 八風(はっぷう)の湯という温泉施設があります。22:00まで営業しているため、ライトアップを見て冷えてしまったら温まって行くのもおすすめ。
お値段は平日1,300円、休日1,500円と普通のスーパー銭湯に比べたら少し高めですが、その分落ち着いた雰囲気でゆっくりできます。タオルと館内着も込みの料金です。
さらに、平日の夜限定で食事とのセットメニューもあります。食事メニュー次第では、入浴料金がほぼタダという計算になったりもする大変お得なプラン。
近江牛すき焼膳など近江牛を扱ったメニューも取り揃えており、近江牛重なら1,500円とお手軽です。
アクセスと営業情報
公共交通機関の場合は、八日市駅より近江鉄道バスで約35分。車の場合は名神高速・八日市ICより約20分ほど。
参拝志納料:500円
※紅葉ライトアップ期間(2020年は11/15~29)は20:30まで開門時間が延長されていました。
コメント