刀、弓、銃、鎧など様々な武具がずらりと並ぶミュージアム。どのカテゴリーもやり過ぎなくらい、とにかく展示数が多いのが最大の特徴。わかりやすい解説も添えられており、時間をかけてじっくり楽しみたくなる博物館です。
歴史マニア必見の施設
中区栄にある名古屋刀剣ワールド・名古屋刀剣博物館は、その名の通り刀剣をメインに扱うミュージアム。最大200振の刀剣を展示している、国内有数の刀剣博物館です。黒川紀章がデザインを担当した栄タワーヒルズの中に入っています。
館内の紹介をする前に、お伝えしておきたいことがあります。
この博物館の公式サイト、読みものがめっちゃ面白いです!!
日本刀の楽しみ方やその種類、さらには歴史まで、非常に読みやすくまとめられています。刀や武具だけでなく、武将の紹介や日本史について幅広く解説、さらには大河ドラマの紹介からコスプレ衣装の作り方まで記載されているため、とんでもないボリュームです。
ブログを書く上で歴史について調べることがよくあるのですが、このサイトがよくヒットするため日常的にお世話になっています。てっきり歴史まとめサイトかと思いきや博物館のホームページと知ったときは衝撃を受け、いつか現地にも行ってみたいなと思っていた念願のスポットでもあるのです。
なお、もともとは2018年に公開された「Webサイトバーチャル刀剣博物館」であり、その後2024年に実際の博物館としてオープンしたというのが流れのようです。事業主体は「東建コーポレーション」という建設会社。もしかして、「東建」だから「刀剣」だったりするのでしょうか・・・?
圧巻の展示ボリューム
入退場ゲートは北館1階、本館2階、本館3階と全部で3ヶ所。2階、3階が常設展示室、4階が企画展示室と3フロアに渡ってひたすら展示が続いています。日本刀は数え切れないくらいたくさん!!
さらには甲冑・陣笠・陣羽織・旗・兜など、刀以外の武具もたっぷり!それぞれちょっとした解説も添えられており、知識がなくても楽しめるように工夫されています。ユニークな点として、火消し装束なんかも集められていました。
火縄銃も信じられないくらいの数。戊辰戦争の勝敗を左右したともいわれる様式銃砲・ガトリング銃も見ることができます。
というか、展示品の数が多すぎます!!
「これはもうやり過ぎ・・・」そんな気持ちになるくらい、とにかく膨大な展示。丁寧に見るならば半日〜1日は必要なほどのボリュームです。
今回は旅行の合間、1時間30分程度の滞在予定で訪問してしまったのですが、完全に見誤りました。とても全ては見切れないので、日本刀をメインにして、それ以外はさらっとで抑えることにしました。
日本刀の楽しみ方
展示室内で見ることができるのが日本刀の作刀工程。尾川兼國さんという現代刀匠による作刀の過程を映像で見ることができます。映像に加えて、それぞれの工程の実物も展示されているのがイメージしやすくて良いです。
日本刀を鑑賞するポイントは様々ですが、まず第一に挙げられるのが「姿」。刀身の全体の姿や形状のことであり、「反り」の具合や刀身の大きさ、先端部分である「切先(きっさき)」、さらには柄に納められる「茎(なかご)」など、様々なポイントがあります。
続いて「刃文(はもん)」。刀身の白い部分に現れる文様のことで、直線的な場合は「直刃(すぐは)」、そうでないものを「乱刃(みだれば)」と呼ぶそう。てっきり作刀の過程で自然に浮き上がるものかと思っていたのですが、土の塗り方によって変化させることができるそう。流派や作者によって表現が異なるようです。
刃文と同じように、黒い部分に現れる模様を「地鉄(じがね)」と呼び、こちらも鑑賞ポイントの1つ。原材料である砂鉄から作られた玉鋼を折り返し鍛錬することによって現れる模様で、光に反射させることによって、ようやく確認することができるそう。
他にも、様々な楽しみ方があり、知れば知るほど奥が深い世界。個人的に気になったのは「五箇伝(ごかでん)」というワード。これは、かつて名工や刀工集団を輩出した五つの生産地における刀の伝法を指すそう。具体的には「相州伝」(神奈川県)、「美濃伝」(岐阜県)、「大和伝」(奈良県)、「山城伝」(京都府)、「備前伝」(岡山県)の5ヶ所であり、言い換えるならば5大産地といったところでしょうか。「◯大シリーズ」って覚えておきたくなりませんか?
ずらりと並ぶ名刀の数々
刀剣知識が皆無な私でもその名を存じ上げている「村正」。村正というのは刀剣の名前ではなく、室町時代から江戸時代初期にかけて活躍した伊勢国桑名郡の刀工一派のこと。
この村正の刀剣は、徳川家に災いをもたらした妖刀としても知られています。家康の祖父・松平清康、父・松平広忠、息子・松平信康の最期に関わっているため、徳川家康が忌み嫌ったという伝説からそのような話が広まったそう。
特別重要刀剣「脇差 無銘 貞宗」、目を引くのは刀身に刻まれた彫刻。表には梵字・蓮台・鍬形・三鈷剣が、裏には梵字・独鈷杵が刻まれています。製作者は鎌倉時代末期から南北朝時代に活躍した「貞宗(さだむね)」、通称「彦四郎(ひこしろう)」。日本刀の歴史の中でも最も有名な刀工のひとり「正宗」に師事した人物です。
「太刀 銘 来国光」。制作者は鎌倉時代末期から南北朝時代初期にかけて、京都で活躍した名工・来国光(らいくにみつ)。
来国光の作品には、国宝に指定されているものもあります。こちらの「短刀 銘 肥後八代住源盛吉謹作 国宝有楽来国光之謹写」は、そんな来国光の刀を昭和の刀工谷川盛吉が写したもの。写真で本物と見比べてみたのですが、姿から刃文の部分まで見事なまでに再現されています。(覚えたての「姿」「刃文」というワードを早速使ってみました!)
不思議な輝きの刀剣
歴史ある刀や名工による作品が並ぶ中でも、一番印象が深かったのがこちら。この刀剣、普通の日本刀とは異なる素材でできているのですが、何かわかりますでしょうか。
正解は隕石!隕石を原材料にした隕鉄剣なのです。ニッケルを多く含むため、黒く輝く刀身に不思議な模様ができあがっています。
隕石から造られた刀というのは何振りか残っており、著名なのが榎本武揚が造らせた刀「流星剣」。他にも現代に造られたものもあり、「天鉄刀」や「隕星剣」といった名前が付けられています。
いずれも厨二心をくすぐるネーミングで、どきどきしてしまいますね!
さてさて、そんなところでそろそろ次へ向かう時間。
先日書いた名古屋市科学館の記事にてコインロッカーが周期表になっていたと書いたのを覚えていますでしょうか。この刀剣ワールドのコインロッカーもユニークでした。
なんと戦国武将の家紋!推しの武将がいる方は、ぜひ狙ってみてくださいね!
アクセスと営業情報
●名古屋市営地下鉄 東⼭線・鶴舞線の「伏⾒」駅より徒歩約12分
●名古屋市営地下鉄 鶴舞線の「大須観音」駅より徒歩約9分
●名古屋市営地下鉄 東山線・名城線の「栄」駅より徒歩約12分
●名古屋市営地下鉄 名城線の「矢場町」駅より徒歩約10分
開館時間 | 10:00~17:00 |
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休館日 | 月曜 |
料金 | 1,200円 |
公式サイト | https://www.meihaku.jp/ |
※掲載の情報は2024年11月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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