鉄の処女やギロチンが並ぶダークなミュージアム『明治大学博物館』(千代田区/御茶ノ水)

東京都(23区)

明治大学の駿河台キャンパス地下には、誰でも無料で見学できる大学博物館があります。そこに展示されているのは、工芸品や考古品に加えて中世の拷問具や処刑具。罪と罰をテーマにした展示を見ることができる、非常にレアなミュージアムです。

訪問日:2023/7/29(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

行きやすい大学博物館

ここは御茶ノ水駅。楽器屋が数多く並ぶ、ミュージシャン御用達な街です。さらにちょっと歩けば古本屋たくさんの神保町、スポーツ用品店だらけの小川町などにもアクセスできる、専門性あふれるところ。

そんな土地に広がるのは明治大学の駿河台キャンパス。このうちアカデミーコモンと呼ばれる建物の地下には明治大学博物館が入っています。

いわゆる大学博物館であり、入館料はもちろん無料。大学の施設は平日限定というところも多いですが、ここは土曜日も開館しています。比較的訪問しやすい大学博物館なのです。

建物1階の入口からエスカレーターで降りた地下1階が博物館の入口。入口からさらに階段を降りていくと展示室。メインは1部屋だけですが、「商品」「刑事」「考古」という3つのテーマに分かれています。

目を引くのは刑事部門

和紙・金工品・陶磁器・漆器などの工芸品が、それぞれの実物に加えて、できあがるまでの過程も紹介されている「商品」エリアや、土器や土偶といった遺跡からの出土品を中心に展示した「考古」エリアも非常に面白いですが、なんといっても見ごたえがあるのは罪と罰に焦点を当てた「刑事」エリア。

特に充実しているのが江戸時代の刑事について。江戸幕府の発令した「生類憐れみの令」が記された書物や、「切支丹禁制」などの法令を記されて掲げられた高札などがずらりと並びます。

こちらは江戸時代の捕縛道具。棒の先に曲がりカギが付いた「袖搦(そでがらみ)」、T字型の「突棒(つくぼう)」などが展示されています。

江戸時代の拷問

捕まえられた被疑者は、奉行所にて取り調べが行われます。そこで、ほぼ確実な証拠があるのに自白しない場合、拷問が行われました。

江戸時代の拷問の種類は笞打、石抱、海老責、釣責という4つ。こちらは笞打で使用される「笞(むち)」。ムチといってもウィップではなく、縄が巻き付けられた棒状をしています。後ろ手に縛られた被疑者をこれで叩いていたそう。

こちらは「石抱拷具」。三角形の木材の上に正座させられた被疑者は、膝上に約50kgの石を乗せられました。

縄で縛り上げ、さらに吊るし上げる「釣責拷具」。そこから厳しい笞打が行われます。

このような拷問が行われていたかと思うと恐ろしいですが、実際は「拷問に頼るのは役人の能力不足」との考えもあり、余程のことが無い限りは実行されなかったそうです。少しだけ安心しましたが、それでも多くの方が厳しい仕打ちを受けていたのでしょう・・・。

厳しい刑罰

罪を認めた被疑者には、そこから厳しい罰が与えられます。笞で敲かれる「敲(たたき)」、一定期間手に鎖をかけられて過ごす「手鎖(てじょう)」などの軽いものから、遠くへ流される「遠島」、命を奪われる「死罪」など重いものまで、罪の重さによって様々な刑罰が定められていました。

死刑の中にはいくつかの執行方法があります。その中で最も重かったのが鋸引。主殺しのみに適用されたそうです。こちらはその際に使用された「鋸引仕置の刑具」

こちらの台は「獄門首台木」。死罪よりも重い罰が獄門であり、刎ねられた首がこの台に乗せられ、見せしめのために晒されるというものでした。よく耳にする「打首獄門」というのはこれですね。

手前は放火犯のみに適用される火罪に使用される「火罪木」、奥は「磔柱」。他にも、様々な罰を知ることができます。

合わせて浮世絵風なイラストも展示されているため、非常にイメージしやすいです。その代わり、少々グロテスクでもありますので、閲覧の際はご注意ください。

ギロチンと鉄の処女

日本だけでなく、世界の処刑具・拷問具も展示されています。目を引くのは「ギロチン」。レプリカであり、サイズは1/2。恐ろしい見た目ですが、それまでの絞首刑や車裂き刑に代わり、受刑者の苦痛が少ない人道的な処刑具として発明されたものであるそう。

この博物館の展示で最も著名なのが「鉄の処女」。内部には鉄のトゲがびっしりと並ぶ、恐ろしい道具です。

実はこのトゲは後世につけられたものであり、そもそも鉄の処女は処刑や拷問ではなく、奇妙な格好で人前に晒される「恥辱刑」の道具であったとも考えられています。

また、聖母マリアをかたどったといわれるデザインも、「キリスト教徒が崇拝すべきマリアを残酷な道具にデザインするのは考えにくい」という考えがあるようです。ただただ恐ろしいモノという印象だった鉄の処女、恐怖のイメージは後世に付けられたものであり、当時はそれほど恐怖の対象ではなかったかもしれません。

こちらもまたレプリカですが、世界中にいくつか存在している鉄の処女は全て18世紀以降に造られたもの。使用されていたと考えられる中世のものはどこにも現存していないため、そもそも存在自体が疑われることもあるようです。

様々な説が飛び交う鉄の処女。博物館に展示されているものを見ながら、いろいろと考察してみるのも面白いのではないでしょうか。

アクセスと営業情報

JR中央線・総武線、東京メトロ丸ノ内線の御茶ノ水駅より徒歩3分、東京メトロ千代田線の新御茶ノ水駅より徒歩5分、都営地下鉄三田線・新宿線、東京メトロ半蔵門線の神保町駅より徒歩10分。

開館時間 10:00~17:00 ※土曜は16:00まで
休館日 日曜・祝日
料金 無料
公式サイト https://www.meiji.ac.jp/museum/

※掲載の情報は2023年7月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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