圧巻の石垣と祟りすら恐れない信念『安土城址』(近江八幡市)

滋賀県

織田信長が作り上げた巨大な城郭。もう建築物は残っておらず、再現建築もない完全な城跡ですが、高く積み上げられた石垣や、建物の跡である礎石など、その面影を色こく残しています。石垣の中には色々なものが混じってきました。

2020/11/21(土)

安土城跡の3つの注意点

織田信長の居城として歴史に名を残す安土城。城郭建築は残っていませんが、巨大な石垣がそびえる広大な城跡は、城好きでなくても、一度は訪問しておきたい城跡です。

安土城へ行くにあたり注意すべきことが3点あります。

①拝観時間が決まっている
城跡というと、受付などはなく見学自由なところがほとんど。しかし、安土城跡は開門時間が8:30~17:00(※季節変動あり)、最終受付が16:00と決まっています。早朝や日没後に登ることはできませんので注意が必要です。

②入山料がかかる
時間と同様に無料で見学できる城址が多いですか、ここは入山料金大人700円・子供200円が必要。建築の無い城址でこのお値段は少々高く感じるかもしれませんが、それ相応の見ごたえはあります。

③けっこう歩く
安土城は、安土山に造られた山城。見学するには、ひたすら続く石段を登り続けることになります。片道30分、往復1時間ほどの運動になるため、足腰に自身が無い人は要注意です。また、前述の通り拝観時間が決まっているため、それに合わせた時間配分も必要とされます。

入口には「杖は必要です!」と書かれたFREE杖もあります。特に下りの際にヒザへの負担を激減できるので、借りていくのがおすすめです。

立ちはだかる巨大な石垣

安土城に訪れた人を出迎えるのは高く積まれた石垣と、ひたすら続く石段。序盤から迫力のある光景が続きます。

すぐに現れるのは羽柴秀吉邸跡。かつて柱が立てられていた場所には礎石が並んでおり、建物の規模を推し量ることができます。後に天下を取った豊臣秀吉も、安土城築城の頃はまだ台頭してきたばかりの頃だったのでしょう。

登っていくと黒金門跡にたどり着きます。ここから先が、信長が選んだ側近と暮らしていた主郭部エリアに入ります。石垣の石がとにかく大きく、これほどの石をここまで運び、さらに山の上まで運んでいたというのが驚きです。

こちらの広場は本丸跡。礎石の配列から建築を推定したところ、当時の天皇の住居であった京都・内裏清涼殿と酷似していたことがわかりました。そのため、天皇を呼ぶために造った御殿と考えられています。

琵琶湖の絶景広がる天守台跡

本丸跡の最後の石段を登ると、広い天守台跡。実はこの広場は地下部分で、実際はここを取り囲んでいる石垣部分全てが天守台であったそう。建てられていた天守閣は巨大な建築で、それ以降各地に増えてゆく高層天守の元祖でした。

天守台跡の石垣を登ると、琵琶湖を見渡す展望台。青く広がる琵琶湖、その向こうには比叡山の姿も。かつて信長は、安土城を含め4つの城で琵琶湖を取り囲んでいました。水運が盛んであった当時、交通の要衝である湖を抑えるための作戦であったのでしょう。

祟りすら恐れない築城

石段を登っていると、足元に石仏を見つけました。ちゃんと案内板も設置されているのですが、なぜ地面に寝かせているのでしょうか?

安土城を築城する際、周辺からはとにかく大量の石が集められました。そのとき、通常の石に加えて石仏や墓石なども石材として使用されていたそうです。石段に埋め込まれている石仏は、城の材料として使用されたものなのです。

この仏足石も、昭和に登山道を整備した際に石垣の中から発見されたものです。こちらも単なる石材として使用されていたようです。

こんなことをしたら「仏様の祟りがある」と考えるのが自然だと思います。しかし、そこは織田信長。比叡山延暦寺や一向一揆など、寺院勢力を尽く攻撃していた彼に、そんな恐れは全く無かったのかもしれません。

お寺を抜ける帰り道

信長は仏教に対する信仰は全くなかったのでしょうか?そんなことを考えながら下っていると、目に入ったのは三重塔。ここは、織田信長が安土城に建立した寺院・摠見寺(そうけんじ)の跡。

三重塔の先には、三間一戸の仁王門。木造の金剛力士立像は、1467年に作られたものです。

仏教弾圧のイメージが強い信長ですが、本能寺や大徳寺など、保護した寺院もいくつか存在しています。仏教を無くしたかったというより、その背後にある権力・武力を打破したかったと考えるのが自然ではないでしょうか。

信長の宗教観については、宣教師であるルイス・フロイスが残した戦国時代の貴重な資料「日本史」に詳しく記載されています。解説されているサイトも多いので、気になる方は調べて見ると面白いですよ!

再現された安土城!「信長の館」へ

いったいどんな城郭が建っていたのか、それを知るにはすぐ近くにある信長の館への訪問がお勧め。8角形のメタリックな外観の中には、1/20サイズで再現された安土城天守模型がそびえています。

スペインのセビリア万国博覧会にて、日本館のメインとして展示されたもの。清州城をモデルにしたシャチホコ、そして金色の鬼瓦、美濃焼の瓦屋根など細部にわたりリアルに再現されています。(※写真撮影可能ですがwebへの掲載はNG)

さらに館内のシアターでは、約15分の映像作品「絢爛 安土城」を上映中。1581年、安土城を訪れた宣教師・ルイスフロイスの視点から描いた作品で、最後は安土城をライトアップしたという伝説の盂蘭盆の様子もCGで再現しています。

安土城址へ行く前にこちらで知識をつけておくと、より多くのことに気づくことができます。

開館時間:9:00~17:00
休館日:月曜、年末年始
料金:610円

コメント

  1. […] こちらの石垣は、百済寺城の跡。戦国時代には多くの僧兵を抱えた城塞と化しており、百済寺城とも呼ばれていました。信長と敵対する勢力に味方していたため焼き討ちされてしまい、大きな石は安土城建築のための資材として運ばれていしまいますが、ここの石垣は小さな石がメインであったため、それを免れたそうです。 […]

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