甑島列島⑤ 里港周辺めぐり『里麓武家屋敷&隠山&トンボロビュースポット』(上甑島/薩摩川内市)

甑島列島

フェリーや高速船が寄港する上甑島の里港。広がる集落には様々な見どころがあります。日本遺産の「里麓武家屋敷跡」や信仰の跡が残る「隠山」、さらに「トンボロ」を体感できるビュースポットをめぐりました。トンボロって何でしょうか・・・?

訪問日:2023/11/3(金) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

日本遺産・里麓武家屋敷跡

里港から徒歩で約10分のところには、里麓(さとふもと)と呼ばれる武家屋敷跡があります。

住居のほとんどが改築されいるそうですが、ずらりと並ぶ石垣は残っています。この石垣はほとんどが玉石垣。丸い石を組み上げた独特の景観が広がります。

戦国時代に大きな力を持っていた島津氏。豊臣秀吉の九州平定に敗れ、領地を減らされてしまいますが、武士の数を減らすということはしませんでした。そのため、本城である鹿児島城に全武士が居住することができなくなってしまいます。

そこで生まれたのが外城制度。各地の城の周辺に武家屋敷を建て、そこに配置されました。その武家屋敷群を「麓(ふもと)」と呼びます。江戸時代末の薩摩藩領内には120か所もの麓があったそうです。

2019年、「薩摩の武士が生きた町~武家屋敷群「麓」を歩く~」として日本遺産へ。現在もその跡が残る、12ヶ所の麓が登録されました。甑島では、下甑島の手打麓(てうちふもと)もまた同様に登録されているそう。明日訪問してみよう。

ちなみに、車で訪問する予定の方は、「おみやげセンターかのこ館(ストアーケイダ)」の手前に駐車場と案内板があるのでここに停めるのが良さそうです。この駐車場、2023年11月時点ではGoogle Mapにまだ登録されていませんのでご注意ください。

亀城跡と展望台のドン

武家屋敷跡の駐車場から300mほどのところには、亀城跡があります。少々険しい上り坂で駐車場もあるので、大きい車でない限りは車移動してしまうのがおすすめです。

ここは、1221年の承久の乱にて武功をあげた鎌倉方の武将・小川季能の子である小川季直がこの地に地頭として来た際に築城したというお城。再現建築などはなく、戦没者慰霊之塔が建立されています。

奥には新しくきれいな展望台があります。登って見ると、里港ターミナル周辺を見渡すことができます。

展望台の下には大きな鐘が吊るされています。こちらは明治23年に施行された教育勅語の30年記念として、大正9年に里村の青年団によって建立されたもの。

時計の普及していなかった当時、里の人々に時刻を知らせる重要な役割を担っていたそうです。「ドン」という愛称で親しまれていましたが、大正末期の火災時の連打によってヒビが入ってしまいました。そのため、現在は打つのは禁止となっています。

かつての信仰の地・隠山

隠山(かくれやま)、それは薩摩藩により一向宗の信仰が禁止されていた時代、信徒たちが仏像などを隠していた場所のこと。

山奥にあるかと思いきや、里麓武家屋敷跡から1.5km、車ならば5分ほどでその入口に到着します。案内板によると「ここから300m近く上がる」とのこと。

訪れる人は少ないためかそこからの道は草木が茂っている様子。300mならば大した距離では無さそうですが、もし本気の藪漕ぎであった場合は50mでもハードです。少し躊躇われますが、意を決して進んでみることに。

入口はかなり草が茂っていましたが、少し進むと比較的歩きやすい歩道になって一安心。5分ほど登ったところに「隠山入口←」の看板が現れました。

その看板から2分ほどで、ついに隠山が見えてきました。木々に囲われた秘密の場所といった雰囲気。武家屋敷の玉石とは異なる、野面積みの立派な石垣に包まれています。

石垣の中心には、すらっと伸びる一本の木が。二又に割れて広がる姿は、何かを表しているようにも見えます。

遊歩道往復+隠山の見学合わせてのトータル所要時間は20分ほど。もっと時間がかかるかと思いきや、体力さえあれば気軽に見に行くことができる場所でした。ただし、11月に訪問したところ、「ひっつき虫」ことセンダングサの洗礼を受けてしまいました。また、夏場はきっとさらに草木が茂り虫も多いと思います。

トンボロビュースポット

甑島について調べていると、あちこちで見かける「トンボロ」の文字。今回利用したレンタカーショップも「とんぼろ」でした。いったいどういう意味なのでしょうか・・・?

「トンボロ」というのは、陸地と島の間に砂が溜まって繋がる陸繋砂州を指すイタリア語。小豆島の「エンジェルロード」や周防大島の「真宮島」、鹿児島県の「知林ヶ島」など、干潮時にのみ砂の道ができるトンボロ現象スポットは、日本各地で見ることができます。

上甑島にも、そんなトンボロポイントがあります。ここのトンボロは、潮を気にする必要はありません。なぜなら上甑島の里集落がトンボロの上に広がっているのです。

このトンボロの全長は約1.5km、最大幅は1kmに及び、函館、串本とともに日本三大トンボロにも数えられています。

このトンボロを体感できるのがトンボロビュースポット。里港から山道を上っていきます。途中には案内板も多数設置されているので道に迷うことはなさそう。ただし道幅は狭くてすれ違いは困難。ゆっくり進んだ方がいいです。

駐車場は見当たりませんが、路肩が広くなっているため数台くらいなら停車は可能でした。

この後は甑大明神橋、鹿の子大橋、甑大橋を渡って下甑島へ!本日の宿のある手打集落へと向かいます。

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